このっ・・・鈍感野郎め!!

「なあ田中」


「どうしたんだ?」


「お前に幼馴染がいるって言ってたよな?」


「そう言ったがそれが?」


「お前その子のこと好きか?」


「・・・まあ、好きだが」


「告っちまえ」


「うるせえ!?そんなことわかってるが俺とあいつじゃ身の丈が合わねえんだよ!!」


「このへたれめ」


「うっせ」


「なんでそう思うんだ?」


「あいつ運動も勉強も何でもできるが俺はそんなに運動もできないし勉強もできないし・・・自分で言ってて悲しくなってきた」


「でもお前テストいつもトップ3くらいに入ってるじゃないか?運動も結構できると思うんだが?」


「まだまだだよ・・・そんなんじゃ」


あ、これあれだ。ラノベでよくある自分の能力の凄さを理解できてない主人公じゃねえか。何だこいつ、運動勉強できるし鈍感だし、あとよく見ると男前である。


「・・・」


「なんでそんな怒ったような目で見てくるんだ・・・?」


「なんでもない、それよりもお前は自分のことかっこいいとか思ったことあるか?」


「ない」


即答された。これもラノベ主人公のよくある特徴だ。


「髪切れよ〜?そんな前髪あってもすごい邪魔だと思うんだが?」


田中の髪型は目のところまで髪が伸ばしてあり、なんだか不潔に感じる。


「いい機会だし髪切っちゃえよ」


「・・・そうだな、バッサリ切ってみるか」


「それならいい人がいるんだがどうだ?」


ーーーーー


「・・・というわけなので美香姉さん、お願いしてもいいですか?」


「いいよ〜」


美香姉さんはほとんどなんでもできるがすぐに飽きてしまうらしい。なので今回は美香姉さんに相談して田中をかっこよくしてもらおうということである。


「じゃあ、この時間に来るからよろしくね」


「了解、任せて!」


なんとも頼もしく返事をされた。


田中が来てから俺も見守っていようとしたが美香姉さんが邪魔だからと言って俺を追い出した。酷くない?


時間が過ぎて姉さんに呼ばれた、田中はイッケメ〜ンに早変わりである。これなら田中の幼馴染も振り向いてくれることだろう。


「ありがとうな、前が見やすくなったからちょっと前向きに考えることができるかもしれない」


「それは良かった・・・」


「なあ、あのお姉さんってお前の彼女だよな?お前と釣り合ってないな」


「・・・?何言ってるんだ?美香姉さんは彼女じゃねえぞ?」


「は?じゃあ前のあれは?」


「嘘」


「はぁぁぁぁ」


なんだコイツみたいな目で俺を見てくる田中。


「お前ほんとにクソ野郎だな」


「お前ほどじゃないよ」


「さて俺は帰るわ」


「送っていくよ」


「そんな彼女送るみたいなことは俺じゃなくて佳奈ちゃんとかにやってやれ。じゃあな」


そう言って田中は外に出た。


その後連絡が来て田中を追いかけたがナンパされてた。


「うぉぉぉ!!???助けて!!優斗ーーーっ!!!」


「・・・けっ、イケメンがっ」


「そんなこと言わないで助けてくれ!!ちょ、ちょっとまってお姉さん方、私には想い人が・・・」


「やれやれ〜!そのクソ鈍感野郎なんかに自分の容姿がかっこいいことを教えてやれ〜」


「何いってんだ!!!???」


「ちょ、ちょっと!!??何やってんの!?」


後ろから声が聞こえ後ろを振り向くとすごい可愛い子が田中を見ておろおろしている。この子が田中の幼馴染だろう。


「真弥美助けてくれ!!」


「う、うん」


そう言って田中は救助されました、いや〜めでたいな〜


ちなみに田中からのコメントは


「後で覚えてろよ???」


でした、その中に殺気が混ざっていてちょっと怖かった。ちびりそうになった。


「真弥美どうしてここに?」


「たまたまだよ、たまたま」


「下ネタやめてもろて」


「ぶっ飛ばすわよ!!??」


「小学生か」


クール系だと思っていたが全然違かったな、そんな俺の様子を見て呆れている田中


「幼馴染が一緒ならまたナンパされないと思うからよかったね」


「え、一緒にいるの?コイツと?」


「酷くね?」


「や、そういう意味じゃ・・ない」


「そういう意味ってどういうことだ?」


お前ほんとに頭いいのか?そう疑問に思いながらも田中を説得する。


「・・・それにさ〜?田中くんはこの子のこと好きなんでしょ〜?」


「ニヤニヤしながら言うんじゃねえ・・・まあそのとおりだが」


「ならチャンスじゃん。ここで幼馴染の好感度上げていけよ」


そう俺は田中に諭した。

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