飲み口は添えるだけ

俺は疑問がある。


「お前関節キッスしたことあるか?」


「どうしたんだ急に?リア充見ててお前もそうしたいと思って実行して逮捕される未来が見える優斗くんや」


「実行したいと思うがそうじゃない」


そんなことで逮捕はされないと思う。俺は関節キッスに疑問がある。


「俺はしたことあるぜ」


「まじかよ・・・でもお前おかんとしたんだろ?正直に言ってみ?」


「そんな可哀想なやつを見る目で見るなよ、ほんとにしたことあるから。幼馴染としたことあるから」


「お前幼馴染いたのか。この学校にいる?」


「いるぞ。隣のクラスの一番かわいいと言われてるやつ」


「まじすか」


田中がラブコメの主人公に見えてきた。俺には佳奈しか幼馴染いないのでちょっとうらやましく思う。


「その幼馴染と今は?」


「どうもないぞ、あいつと一緒に歩いていたら嫉妬されるし。あとあいつに嫌われてるから」


多分嫌われてるのではなくツンデレなのだろうか?


「こ〜の鈍感め〜」


「お前に言われたくないわい!俺は至って普通の男子高校生だ」


これが鈍感系主人公ってやつか・・・


「けっ・・・!リア充がよぉ・・・!」


「うるせえ、リア充だと思うか?」


「思いませんともええ」


話が脱線してリア充を爆発したくなる話になったが戻そう。


「それで?関節キッスした感想は?相手はどんな様子だった?」


「特に何も?あ、でもあいつちょっとあの時顔が赤かったぞ。多分風邪だったんだろうな」


「・・・南無三」


こんなやつが幼馴染とかその子も苦労してるんだな・・・こいつの幼馴染はほんとに気の毒であった。


「そんなこと急に聞いてどうしたんだ?」


「佳奈が関節キッスしたことあるかって聞いてきたからさ」


「え」


そんなに驚くことか?別に関節キッスしたことあるかって聞かれたくらいでそんなに。


「そ、それで?お前はしたことあるのか?」


「んー?ないかも」


「・・・はぁぁ」


「ため息ってなるべくついたほうがいいらしいぞ。まあ幸せが逃げていくってのもあるけどな」


「お前ほんとにどうしようもない鈍感クソ野郎だよな」


「お?急に悪口かい?田中〜?喧嘩なら買うぜ?」


「喧嘩売ってるわけじゃないが。まあ頑張れよ」


そう優しく肩を叩かれた。なんだか田中がクソ気持ち悪いぞ?悪いものでもたべたのだろうか。


ーーーーー


「ね、ねえ?喉乾いてない?」


「乾いてるかも」


「それは大変だー熱中症になっちゃうよー、これあげるから飲みなよー」


「なんか棒読みだが・・・まあお言葉に甘えていただくわ」


飲み口に唇を向けると佳奈の顔が赤くなっていた。


「大丈夫か?顔赤いぞ?・・・はっ!もしかして・・・」


「・・・!?」


「熱中症か!?ほら、これ飲め!倒れる前に!」


「あ、ありがとう・・・」


あ、俺が飲んだ水筒渡したけど・・・まっ佳奈は気にしないだろう。佳奈の飲みっぷりを見て俺も佳奈にもらったものを飲んだ。う〜む、オレンジの味がする。


「大丈夫か?調子は?」


「よ、良くなったよ・・・」


「今日は急いで帰ろう」


「今日もおんぶしてくれないの・・・?」


今日も?昨日は佳奈が勝手に乗ってきたので今日もおんぶしないのかと言うのはちょっとおかしい、だけど今は佳奈の体調が良くないので仕方ないがおんぶする。


「ほら」


「あ、ありがとう・・・」


佳奈はそう言いちょっと躊躇うように俺の背中に乗る。前はこんな様子ではなかったのにどういうことだろう。まあ心情が変わったのであろう。


「お、重くない?」


「全然、むしろかるすぎるくらいだ。ちゃんとご飯食ってるのか?」


「うん食べてるよ・・・」


そこから先は特に会話は無く佳奈を自宅へと送り付けた。


「あがっていく?」


「いや大丈夫だ、誰かいると佳奈は休みづらくなるだろ?」


「・・・そんなことないけど」


「とりあえず安静にな?」


「あ・・・」


帰ろうとすると佳奈は寂しいのか俺の袖を掴んだ。


「今日誰もいないから寂しくて・・・」


「そっか、それなら少しだけあがっていこうかな」


そういうと佳奈はぱあっと明るくなったように笑顔を見せた。母性くすぐるような笑顔だった。まあ俺の場合は父性なのかな?

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