本物ヒロイン
「今日はいいピクニック日和だね!」
「デジャヴを感じた」
なんかこんなことが前にもあった気がする。この後俺はコイツをおぶるのだろうか。先におぶっておこう。
「なんでしゃがむの?乗ってほしいの?もしかしてM?」
「どうせおぶってほしいとか言うだろ?だから先におぶっておこうかなと」
「別にそんなこと言わないけど、まあそんなにおんぶしたいなら乗るけど〜?」
「じゃあいいや」
「なんでよ!?せっかく乗ってあげようと思ったのに!!」
だって疲れるし髪の毛引っ張られるし胸が当たるし胸が当たるからだ。まあ彼女の胸は平原みたいにスラッとしているのでジャンプしても揺れることはないだろう。運動とかでは有利であろう。運動部にとっては羨ましい限りである。
「いてぇ。なんで急に殴ったんだ?」
「苛ついたから」
「ジャイ◯ンか」
「巨人?」
それはジャイ◯ンツな。なんで野球チームが出てくんだよ、君野球チームが作れるくらいのコピーとかいないよね?
そんなことを考えながらも佳奈を背負った。女の子特有のいい匂いが俺の鼻をくすぐった。なんで女子ってこんないい匂いがするんだろうな?
「ほらほら〜早く歩かないと遅刻するよ〜?」
「わかってるから髪引っ張るな!ハゲるわ!」
「お、ホントだ少しハゲてる」
「え」
「嘘だよ〜」
この胸の高鳴りは何だ?もしかしてこれが・・・
将来への心配と言うやつか・・・俺将来ではツルッツルになっていてほしくないな。
「あ!見てみてあそこ!」
「だから髪引っ張るな・・・あそこ?何があるんだ?」
新しい建物でも立ったのだろうか?それとも何かが捨てられているとか?
「ほらそこのダンボールに・・・」
「ダンボールに・・・?」
「ガン◯ムが」
「なんでここに入ってるんだ・・・?」
しかもちゃんと組み立ててありヤスリも隅々までやってある形跡が見えた。ここまでやったんだから家に飾ってやれよ。もったいないぞ。
「ねえ、優斗」
「なんだ?」
「このガン◯ム可哀想だと思わない?」
「そーだな」
「飼ってもいい?」
「だめに決まってるだろ」
プラモがもう捨て犬に見えてきた・・・いや、ガン◯ムにしか見えない。
「ほら遅刻するからもう行くぞ」
「えー仕方ないね」
「なんでそんな上からなんだお前は・・・」
名残惜しそうにガン◯ムが入ったダンボールを見て佳奈は手を振るがもちろんガン◯ムは反応しない。
ーーーーー
ガン◯ムのせいで遅刻するところだったがギリギリで教室に駆け込んだ。
・・・?何故か皆が口を開けてこっちを見てくる。
「おはよう」
「・・・はっ、あ、ああおはよう」
どうしたんだ田中お前らしくないぞ。いつものお前ならすぐに挨拶を返してくれるのに。
「どうしたんだ?田中?風邪か?」
「なんでお前の背中に草丘さんが乗っているんだ?」
「佳奈が乗ってる?そんなわけ・・・」
後ろを見るとしっかりと佳奈が俺の背中に乗っていた。なんだ声かけてくれなかったのだろうか。
「・・・ぐぅ」
「寝てるな」
「とりあえず降ろせよ」
「そうだな・・・」
降ろそうとすると何故か佳奈が降りない。無理やり降ろそうとしても肩をしっかり掴んで離さない。手をほどいた途端に首に手を回してきた。
「ちょ・・・まって・・・首が・・・!」
「ちょ、やばいやばいちょっと男子来て集合!優斗が死ぬまじで死ぬ!」
「離してやってくれ!佳奈さん!優斗が真面目に死ぬ!」
その後は無事救出されたがもう佳奈をおぶるのは絶対にしないと心に誓った。
その後は佳奈が抱きついてきたり一緒に御飯を食べたりしていたが男子たちの視線がいつものような嫉妬ではなく心配の視線だったので少し動揺した。
やっと放課後になると佳奈がこっちの方に来て『一緒に帰ろ!』と言ってきたから帰ることにした。
「結局佳奈はあの時寝てたのか?俺には起きてたように感じたが」
「ね、寝てたよ!もうすごいぐっすりと!」
そう焦って言う佳奈がすごく怪しいが本人がそう言うなら寝ていたんだろう。
「そ、そういえばさ〜今日って宿題出てたじゃん?」
「ああ出てたがそれが?」
「優斗の家でやってっていい?」
「いいけど。帰りは遅くならないようにな」
「君は私のおかんか」
佳奈はそう言いながら笑った。
あ と が き
平日にも投稿できるように頑張ります。
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