闕腋に指を挿入れ身に觸れや平胡籙の切斑さやさや


闕腋けつてきに指を挿入さしいれ身にれや平胡籙ひらやなぐひ切斑きりふさやさや



 上巳の雛飾りをテーマに、破戒を詠んだ第二弾。


 平安時代の男性の装束には文官と武官の別があった。

 表着となるほうについて、文官はわきの部分が縫い付けてある縫腋ほうえきの袍。武官はわきの部分が開いている闕腋けつてきの袍であった。


 拙歌においては、きたのみや随身ずいじんの袍――わきの部分が開いている闕腋けつてきの袍――の、その開いている横の方から手を中に挿入さしいれ、袍の内側に着る袖無しの半臂はんぴ、更に内側の下着である下襲したがさねを越えて、男の肌にまで指が到達した場面をイメージしている。


 平胡籙ひらやなぐひは武官が矢を入れて背中に背負う武具、切斑きりふは鷲(イヌワシの幼鳥の尾羽か?)の白い斑入ふいりの羽を用いた矢。

 大胆な情交に、平胡籙ひらやなぐひも大きく揺れ、挿した矢の矢羽根同士が触れ合って音を立てている。





 


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