吹く風に骸は晒れて鵺鳥の呻吟ひ啼ける骨哨となる
吹く風に
関東地方は空梅雨気味に暑い日が続いているが、僕の郷里の九州は豪雨に見舞われ、あちこちの被害も報道されており、係累のことなどを思うと不安で憂鬱な気分である。
ちょうど二年前には、熱海伊豆山の土石流災害が起きた。多くの人が亡くなり、人以外の多くの命もまた失われたことだろう。
自然の猛威を前に、生きものの命などひとたまりもない。
拙歌の舞台はこの時季とは反対の冬。
木枯らし吹きすさぶ枯野をイメージしている。
野晒しとなった脊椎動物――人も含めた――の遺骸。
その肋骨などに強い風が吹きつけ、笛のような音を立てている様子を想像した。
この世に生を受けたものは、全て骸となる。
現下に生あるものを全て集めた数より、遥かに遥かに多くの遺骸が何億年にもわたって積み重ねられてきた。
この世は至る所が死処であり、地球とは壮大なる墓場である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます