椋の實の靑きを澁み唾を吐きて爾が心思ふ靑き爾が心


むくの靑きをしぶを吐きてうら思ふ靑きうら



 秋には黒く熟して甘くなるむくの実。

 椋鳥の好んで摂取するその実。

 しかし、今の時期にはまだ青く、仮令たとい噛んだとしても、舌には頗る渋さのみが作用する。

 ただし、その渋さをこそ、求める心理もあろう。

 唾吐つばきつつ、あえて求める青い渋み。

 甘いだけの施しなど、いかほどのものか?




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