油なす水面に日影海月なす漂へるなへ夏は至りぬ


油なす水面みなも日影ひかげ海月くらげなすたゞへるなへ夏は至りぬ



 今日は夏至。

 風穏やかに、水は凪いで、その表面は油のように光をぎらつかせながらうねっている。

 ひる近く、太陽は頭上に高く、その影を水面に映ぜしめ、さながら浮かび上がってきた水海月みずくらげが漂っているさまを思わせる。

 古事記の冒頭に近く、天地が初めて開け、大地も海も混沌として液状に定まらぬ様子を形容するに「國稚如浮脂而くにわかくうかべるあぶらのごとくして久羅下那州多陀用弊流之時くらげなすたゞよへるとき」という素晴らしい表現がある。

 拙歌にもこの表現を借用した。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る