靑蔭を吾が捲行けば夕空に兆せる闇ゆ燕落つ


靑蔭あをかげ捲行まきゆけば夕空にきざせる闇ゆつばくらめ落つ



 夕刻、靑いかげ四圍しゐを滿たしてくのを、御覽になつたことはありませうか?

 さうです。

 さういふ靑い蔭を、まる卷物まきもの捲取まきとるやうに捲いてくのもつとめで御座りますが、たゞ、そこはそれ、闇のきざし。

 闇より落ちて行くものも、一つ二つと……


 えゝ、一つ二つと、とこしなへに失はるゝので御座りまするが、それを御認識遊ばする人の幾人いくたりかおはしますでせうか?





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