天地ゆ重き命もありなれど吾が靈の緖は芋の葉に置く


天地あめつちゆ重き命もありなれど吾がたまは芋の葉に置く



 生命は地球よりも重しとて、現行法をこぼ抛擲はうてきして、罪人を縛せる綱を斷ぜしめ、兇徒を放たしめし宰相ありき。

 生命以上の価値無くして何の軍ぞとて、將星を縛し將卒數名に手傷を負はしめ、自ら割腹し、弟子にも腹を切らしめし文士ありき。

 太史公曰く、「人もとより一死有り、或いは太山たいざんより重く、或いは鴻毛よりかろし」と。

 しかくあらば、吾が生命の輕重何如けいちよういかん

 すなはち、芋の葉に凝れる露の玉の如くにあらまくほしとぞふ。


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