第7話 生きてるみたいだ

 おれは死んだはずだった。

 海の匂いがする。埃の匂いも。微かに聞こえるのは、波の音。

 眼を開ける。

 船の底が見える。太い竜骨と湾曲した巨大な板材。半透明な海緑色。

 身を起こそうとして失敗する。下半身に力が入らない。

 女が寝ていた。おれの寝かされていた寝台に身を横たえて、静かに呼吸している。

 幼いと言っていいくらい若い、小柄な女だ。赤茶けた短い髪に、日焼けした褐色の肌。顔の造作は分からない。というのも、奇妙な布の覆面で眼から下を覆っているからだ。

 目を上げると、船の底に見えたのは天井だったことが分かった。薄暗い空間の上面がくぼんでいる。ボートを逆さに被せたような形の小部屋に、おれと女はいた。

 女が起きた。大きな緑色の瞳がおれを見つめる。

「おい、どこだここは。誰だ、君は。おれはラ・グロイール社にいたはずだが、何か知らないか」

 女が手を伸ばし、質問するおれの唇に人差し指を当てて制止する。口を噤んだおれの頭蓋骨の内側に声が響いてくる。

『まずは心を静めて。興奮しているように見えます。今あなたは海の底にいるのです。深呼吸してください』

 目の前にいる女の声か。しかし、音として発生しているわけではないようだ。肉を伝わり、骨を伝わり、おれの中へ直接響いてくる。

『落ち着きましたね。私はアルミラージ。親しい者はミラと呼びます。あなたもそう呼んでください』

 舌の上で鈴を転がすような美しい声だ。こんな声は聞いたことがない、と思いかけて、実際の音としては発声されているわけではないことを思い出した。おれが頭の中で想像している声なのだろうか。

『戸惑っていますね。でも大丈夫。声を上げたり、心を荒立てなければ害はありません』

 何の話をしているんだ。そう言おうとして、息を呑む。

 うみうさぎだ。小さいが、完全に結晶化した末期状態。宿主はイルカの仔だろうか。おれの寝台のすぐ近くで、一メートル足らずの体躯を波打たせている。

 無貌の頭部の後ろから延びた短い『耳』をしきりに動かしながら、寝台に触れるか触れないかというところを這っていく。胸鰭と尾鰭を交互に動かしてのたくるように。

 思い出す。そうだ、おれは社外の外壁付近で、うみうさぎに襲われたのだ。その背に乗ってこちらを攻撃してきた海伏わだふせを、同僚と協力して殺った。一緒にいた連中はどうなっただろうか。

 小さなうみうさぎが、例の機械的な咆哮を上げる。巻きひげのような『うみうさぎの足』がおれの体に伸びてこようとする。おれはとっさに手で掴もうとしたが、寸の間押し留めることすらできない。針金のように細いのに力が強すぎる。うみうさぎの恐ろしさの一端はこれだ。通常の現代兵器がまるで通用しない堅牢さと尋常でない膂力。単純だが、それゆえに隙がなく手強い。

 握った『足』の力に押され、おれの体が寝台の上をずるずると後退する。おれには武器がない。今はこいつをどうにもできない。

 アルミラージと名乗った女を見やる。この子を抱えて逃げられるだろうか。

 唸りながら這い寄ってくるうみうさぎを蹴りつけようとして、気づいた。

 おれの足が、ない。両方だ。

 そうだ、あのとき食いちぎられたのだ。大腿から断面にかけて包帯が巻いてある。

『落ち着いて、もう一度深呼吸を。その子は敵じゃありません。あなたの興奮に感応しているだけです。その子はまだ捕食ができませんから、大丈夫』

 その子とはこの仔イルカのうみうさぎのことか。そんなことがあるものか。うみうさぎはヒトを襲うものだ。

 ミラが緑色の瞳でおれを見つめてため息をついた。軽やかにおれの体を跨ぎ、仔イルカとおれの間に割り込む。

 しゅっ、と伸びた『足』が彼女を襲う。その一瞬で彼女は覆面を外したようだったが、おれからは素顔は見えなかった。

 びくっ、と女が身を震わせた。耐えきれず漏れたと思しき呻き声が妙に艶めかしい。

 うみうさぎが『足』を引っ込めた。興味を失ったように向きを変え、元いた方に戻っていく。

『あの子は私が宥めました。あなたを落ち着かせるより早そうだったので。さて、今のあなたの状況は分かっていますか』

「いや……正直よく分かっていない。もしかして君は、海伏なのか」

『そう、あなた方内地の人間は我々のことをそう呼ぶようですね。あなたは我々の作戦に居合わせたため負傷し、ここに搬入されました。失礼ですが、お名前を伺っても……』

「ハーバート。エイモス・ハーバートだ。会社では現場主任だった。おれの扱いは捕虜か」

『いいえ、捕虜ではありません。我々は衛生保全業者の企業間協定を批准していませんから、もしハーバート氏が捕虜だったとしてもそうした扱いをする必要はないわけですが。いずれにせよ、ご自身の状況が把握できていないのは不安でしょうから、こうしてご説明申し上げています』

「捕虜じゃないってことは、おれを切り刻んでうみうさぎの餌にでもするのか。自慢じゃないが、そんないいもん食ってないからな。まずいぞ、たぶん」

『いえ、それも違います。確かに我々のそういった風評が内地で流布していることは知っていますが、それは誤解です。我々の目的は別にありますし、その妨げにならない限り、ハーバート氏に危害は加えません。よろしいですか』

「ああ。逃げようったってどうせ、ここは君らの領域だしな。従うよ」

『ありがとうございます。ご理解いただけたようで何よりです。では、当面こちらで生活をしていただくにあたり、案内をさせていただきます』

 彼女はそう言って立ち上がり、おれの両脇に手を入れて無造作に持ち上げようとした。いつの間にかまた覆面を着けている。おれは年甲斐もなく慌てた。

「おいおい、抱えてく気かよ。エスコートは嬉しいし、指示に従うとは言ったが、できれば見世物にはなりたくねえな。車椅子かなんか貸してほしいんだが」

『ああ、義足がありますから大丈夫ですよ。装着はお手伝いしますからそのときだけは若干羞恥心をお感じになるかもしれませんし、慣れるのに少し時間がかかる可能性はありますが、それでも内地のものより高性能です。それに、この部屋にいるのは私たちだけですから、我慢してください』

 おれの体を後ろ抱きに抱え上げたミラが、細身の鎧のように灰色に輝く義足を装着した。細い腕だが、まるで重さを感じさせない動き。力仕事には慣れているのだろうか。

 一般的に義肢というものは使用者の手足の形状に合わせて調整しながらオーダーメイドするものだし、ベルトや補助具を使って体に固定するものなのだが、これはどういうわけかおれの足の断面に食いつくようにぴったりと嵌った。動かそうと思えば、生身の足と変わらない挙動をする。それどころか、傷口の痛みすら綺麗に消えてしまっている。

「……海伏ってのは、すごい技術を持ってるんだな。うみうさぎに食われたおれの足より速く走れそうだ、この義足は」

 正直、物騒で胡散臭いだけの連中だと思っていたが、これだけのテクノロジーを保有しているとなると、認識を改めなくてはならないかもしれない。まあ、おれの足を奪ったのもこいつらなのだが。とはいえ、おれもこいつらの仲間を殺しているから、文句を言う筋合いでもない。お互い仕事でやっていることだ。

『いえ、これから我々にご協力いただくわけですから、この程度はサービスと思ってください』

 歩きながら会話する。ほとんど生身の足と変わらず歩くことができた。おれが寝ていた部屋を出て、ミラの先導に従っていく。

 彼女はここを海の底と言った。確かにそれは正しかった。

 海伏の拠点と思しきこの場所は、火山活動の影響で生まれた海底洞窟らしかった。地殻変動で水中に取り残された、地上と同じ空気が溜まった場所で、高さは数百メートル、奥行きも縦ほどではないにせよ、それなりにあるようだ。地図上ではどのあたりに位置しているのか、と尋ねたが、彼女はそれには答えなかった。

「空気とかエネルギーはどうしているんだ。まるっきり水の中なんだろ、ここ」

『バクテリアと改良植物を用いて産出しています。もともとここの壁や天井に自生していた種に手を加えて増産したそうですが、今は繁殖も管理も、大部分を人の手で行っています。光については、火を使うと酸素も燃えてしまいますし、化石・金属資源も貴重なので、生物発光を利用しています。洞内の照明も同じ原理です』

 実を言うとおれは、ラ・グロイール社の警備員をやる前、探検家かジャーナリスト志望だった。そういうわけでどうしても、こういう知らない場所に来るとわくわくしてしまうのだ。どこのメディアも企業の息がかかったプロパガンダまがいの報道ばかりで、自由な取材ができないからと半ば諦めていた夢だったのだが、まさかこんな形で夢の一端を掴むことになろうとは。

「すげえ。面白いな。君たちはみんなここで暮らしてるのか」

『働けないほど幼い子はまだここでは生活できないので、専用の施設で管理されています。とはいえ、そうですね。似たような拠点はあちこちにありますが、ほぼここと似たような状況かと』

 青年になりかけだがまだ少年と呼べるくらいの年齢の男の子が、おれの新しい足を横目に見ながら、ばかにゆっくり通り過ぎていく。人々の様子を見れば、義足や義手を着けた人間は珍しくないようだが。そういえば、襲撃してきた海伏も灰色の籠手や脛当てを着けていたかもしれない。

 少なく見積もっても数百人規模の、村のような集まりが形成されている。見たところ、商業の類はないようだ。誰もが何らかの作業をしたり、休憩しながら談笑したりしている。比較的幼い子供たちも遊ぶのではなく、荷運びなど単純な業務を任されているようだ。印象としては、世間で言われているような宗教に傾倒した危険分子の集団というよりも、敬虔で勤勉な人々に見える。

 経済、というか物質の循環はどうなっているのだろう。少なくとも公式には、海伏と交流のある企業や国家はないはずだが。閉鎖経済で自給自足しているのだろうか。あるいは内密に、水面下で内地の国家や企業とやり取りをしているのか。共同体である以上、統治機構はどうか。古の封建制度のように君主や支配層の人々がいて、住人たちを管理しているのだろうか。

「外部の人間との交流はどうなってるんだ。内地の人間を攫ってると聞くが」

『それは我々の偽装情報工作ディスインフォメーションですね。実際は入信希望の同志やその家族の受け入れが大部分です。思想は関係なしに、外海に憧れがある人の需要というのも一定数ありますし。それに、これは微々たるものですが、航空券が買えない人たちの非合法な渡航手段を用意することもありますね。大陸間の海路は、あなたがたの言ううみうさぎ——ああ、我々は彼らを燦海あざみと呼びます——に分断されていますから。内地でしか手に入らないものもありますので、そういう貴重な物資を我々への報酬として設定しています』

 うみうさぎの脅威は万国共通だ。海に直接面していない内陸にしたって、輸出入はどうしても海を越えたやり取りになる。最前線の防衛は沿岸部統一警備隊の各国支局が担っているが、それでも民間人を含め、年間で数千人程度の死者は必ず出ている。当然、外海を商業圏とする海運・漁業などの産業は全滅して久しい。だからこそ各国は内地に引き籠って広大な耕作地や品種改良した家畜の養殖場を国家事業として整備し、自国民の食料をできるだけ国内生産で賄っている。化石燃料などの埋蔵資源が乏しい国は膨大なリソースを支払って、空輸でそれらを手に入れているとも聞く。

 国際的なやり取りに限らず、通貨というものはその時代における、その通貨自体の価値への信用によって成立するものだ。そして現在、国際通貨として最も信用できる価値を持つものは何を措いてもフォーマイトであり、通貨に準ずるモノとして取引に使用されている。通常の通貨と大きく違う点は、材料として使えばなくなるというところだ。国家間で取引に使うだけならキャッチボールしているわけで、国家単位ではともかく絶対値としては目減りしない。しかし、うみうさぎ対策の設備や研究に使用しなければならないことは確定事項だから、自国の保有フォーマイトはどんどん減っていく。フォーマイトの調達も流通も、対うみうさぎ装備を独占する民間衛生保全業者にそのほぼ全てを依存する。実際彼らと契約を結ぶためなら、たとえその主体が国家であっても、かなりの無理難題でも呑むのだ。

 大規模とはいえ、あくまで民間企業に過ぎないRQレッドクイーン社やTPティーパーティーズ社がでかい顔をしているのには、そんな事情もあったりする。

「君らの組織としての目的が何なのか知らんが、安全な海運航路が確保できるなら、もっと健全なやり方で各国や組織と付き合ったらどうなんだ。余計なお世話かもしれんが、その方がみんな豊かになるだろうし、君らの教えとやらも広めやすいんじゃないのか」

『いずれはそうなるかもしれません。しかし我々は、国際法上完全に非合法イレギュラーな組織——平たく言えば海賊です。手を組めば利点があるとしても、すぐにすぐ受け入れられる存在ではないでしょうし、双方の折り合いがつかなかった場合、武力衝突もあり得ます。現在の我々の保有戦力では、たった一度の抗争で拠点ごと壊滅しかねません。だから、今はまだその時ではないのです』

 その暁に海伏が直接的な武力でもって世界に影響する意思があるか否かは分からないが、言ってしまえば、それはこの際関係ない。滅ぼされないだけの自衛に足る戦力とは、事実上、侵略にも転用できる戦力ということだ。彼ら自身の意思や望みに関わらず、現在世界経済の覇権を握る民間衛生保全業者を出し抜いて、容易に世界を侵略し牛耳り得るということが重要なのだ。外海を舞台とした群雄割拠のこの時代において、何らかの手段で以てうみうさぎを御し手懐けることができる彼ら海伏は、それだけ巨大なアドバンテージを持っていると言っていいだろう。

 実際問題、今この瞬間には、単純に組織としての体力で言えばRQ社が覇者として最有力候補だ。南極会戦後規模を縮小した統一軍譲りの統率能力と拠点の多さ、資金力や保有戦力の充実具合から見ても、他の追随する余地はないように思える。しかし、組織は肥大化すればするほど柔軟性を失い、硬直するものだ。彼らが目の上のたんこぶである業界二番手のTP社やテロリストの海伏を、少なくとも表立っては撃滅せず、かといって併合・融和しようともしていないのは、案外そんなところに理由があるのかもしれない。そして、その優位性がどこまで続くか……。

 RQ社やTP社は、海伏のことをどこまで知っているのだろうか。

『——ハーバート氏。ハーバート氏』

「……あっえ、すまない。何だって……」

『目的地に着きました。こちらへ』

 ミラに手を引かれ、洞穴中心の窪みを滑り降りる。

 すり鉢状の窪みは直径二十メートルほどで、周囲に住居はない。そのさらに中心には紡錘形の黒い巨岩が、やや傾いだ状態でめり込んでいた。

 件のバクテリアか、加工したフォーマイトだろうか。不思議な色の光源に照らされて、岩に刻まれた異様なレリーフが浮かび上がる。

「これは……」

 髪の長い、巨大な弓を握った女の姿が壁面に彫られている。いや、彫られているというよりも、半身を岩盤に埋め込んでいるような。

 目を引くのはその眼窩だ。女の左眼から花が生えている。無論、本物の花ではない、図案として、本物そっくりの花が彫られているのだ。

 本物そっくりといえば、女自体もそうだ。「今にも動き出しそうな」というのは高度な芸術によく使われる慣用句だが、それどころではない。蝋よりもなめらかで高密度な流体で型を取り、融かした岩を流し込んだような。人の手で彫刻されたものとはとても思えないほどの生々しさだ。

『彼女は『ARITHアリス』です。私たちの教義における重要な存在です』

「ふうん……それにしても、すごい精度のイコンだな。生きてるみたいだ」

『生きていますよ、彼女は』

 聞き間違いか。いや、そういうわけでもなさそうだ。

「生きてるって……彼女は神話か何かの登場人物じゃないのかい。いやもしかして、この彫刻が彼女そのものってことかい。もう驚かないぜ」

『いいえ、ここにあるのはただの象徴です。そして正確に言えば、彼女は、私たちが生まれる前から生きています。詳しくはいずれお話ししますが』

「……へえ。まあいいや。そろそろおれをここに連れてきた理由を教えてくれよ」

 おれがそう言うと、ミラは少し身じろぎをする。高性能なロボットと見紛うほどに冷静だった彼女が見せた、ほとんど初めてのひどく人間臭い所作だった。

「……我々が、本来敵対陣営の構成員であるあなたを保護・治療したのは、単に人道的な理由からだけではありません。我々も想定していなかった事態があなたの身に起きたこと、それが我々の、そしてこの世界の趨勢に関わることだったからです」

「それはもしかして、おれが足を食われたあの日と関係がある……んだろうな、その様子じゃ」

『ご名答です。実を言うと、我々の管理する燦海あざみがあなたの両脚部を捕食したことは、半ば事故のようなものなのです。そもそも我々が先日ラ・グロイール社を強襲したのは、かの企業からあるモノを奪うためでした』

「あるモノ、ねえ……。まあうちの親会社のTPティーパーティーズなら、それなりに貴重なブツを管理しててもおかしかないだろうがよ。ただ、ラ・グロイールはしがない下請けだぜ。正直、君ら——海伏の興味を引きそうなものなんかないと思ったが」

『言ってしまえば、ダイヤモンドの原石のようなものです。とびきり貴重ですが、知識がなければ路傍の石と変わらない。おそらくTP社上層部も、事件当時はまだ知らなかったか、あえて泳がせていた。仮に前者だったとしても、少なくともあの事件を機に気づいたことでしょう。我々としては、TP社に囲い込まれる前に彼を保護したかったのですが』

「彼、っていうと。その原石とやらは人間なのか……」

『当時はそうでしたが、今は違うという表現が分かりやすいでしょうか。彼は十六歳の少年ですが、私と同じように喞殻しょっかくを授けられた、我らの指導者となる資格を持つ者——産汐うぶしおなのです。産汐は人間ではありません』

 このミラという女、何らかの役職には就いているのだろうと思っていたが、指導者だったのか。そして口ぶりから察するに、海伏の指導者になるには何らかの資格か、特別な能力が必要らしい。

「その餓鬼がきはあれか、入信希望なのか。で、ここに亡命したかったとか」

『餓鬼という表現が未成年を指す言葉であるのなら、ハーバート氏もさほど変わらぬご年齢かと思いますが。ともあれそうですね、いいえ、彼自身からのアプローチは一度もありません。彼自身も、自分が産汐であることは知らなかったはずです。私たちが見つけたのですから』

「……やっぱり、そうやって内地の人間を誘拐して信者を増やしてんのか、君ら。そんなやり方で連れて来られたってほいほい従いやしねえだろうよ、そいつも」

『否定します。無関係の人間を恐喝や誘拐で以て従わせるということを、我々は教義で禁じていますから。これは例外中の例外なのです。我々はどうしても彼と接触する必要があったので、ハードネゴシエーションに踏み切りました』

「まあ、おれが殺されかけたことについて文句は言わねえよ。そういうの、お互い様だしな。だけど、何も知らねえ奴を攫って神輿にするってのは、あんまり褒められた真似じゃねえとおれは思う」

『それは、あなたの今の立場を自覚された上でのご発言ですか。現在ハーバート氏は、生殺与奪を我々に握られているわけですが』

「そうとも。おれが君らに殺されるのは仕方ねえ。海で働いてる奴なんてのは、そういう危険込みで給料貰ってんだ。だけどな、何も知らねえ奴を、まして餓鬼を、そういう汚い政争に巻き込むのは気が引けるっていう話をしてる」

『巻き込むという表現は恣意的に過ぎますね。正確には、彼に選んでもらうのです。我々とともに来るか、来ないかを』

「うみうさぎを操って、脅してか。あいにくだが承服しかねるね。選べる側の人間というのは得てして、そうでない者の心の動きに盲目になるものだ。君もそうだ。そういう奴は選べない人間に対して、決してフェアじゃない前提を、フェアであると思い込んで強制するものだ。もちろんそういうやり方っていうのは賢いし、それを否定する気はない。因果な話だが、おれはかつて選べる側だったのに、今は後者として、敵地のど真ん中で君と問答をしてるわけだからな。ただ、指導者である君にそれがあるように、力を持たないおれにも意地ってもんはある。無関係の子供を、宗教の道具なんかにするのはごめんだね」

 ミラは驚いたようにこちらを見つめる。だんだんこいつの人間味が引き出されてくるようだ。実を言うとおれとしても、今の状況はちょっと楽しいのだ。半ばやけくそだが、どこまで我を張れるか、人生最後の勝負といこう。

『あなたには関係のない人物であっても、ですか。彼が十六歳だから、子供を戦争に駆り出したくないから、あなたはここから帰れなくなってもよい、死んでもよい、と……』

「そうだな。まあ君らがそいつに何を吹き込もうが、何をやらせようが、どうでもいいってのはその通りだ。ただし、おれが知らないところでやるならな。古巣を裏切れとか、そいつを攫うのに協力しろだとか、そういうことを要求するのもなしだ。寝覚めが悪い。覚める頭がなくなったとしてもな」

『そうですか。なるほど意地とは、合理的とは言いがたい』

 彼女はこちらに顔を近づけた。かぐわしいその吐息が頬にかかるほどの距離で、褐色の面輪に縁どられた緑色の瞳が、正面からおれの顔を見つめている。

『しかし、惹かれるものがあります。組織の利害に関係なく、私はあなたに興味が湧いてきました。どうでしょう、ここはひとつ、あなたの要求をお聞かせ願えませんか。お互い選べる立場なら、そちらの言うところのフェアな取引になるのでは』

「へえ。押さえつけるとか、拷問とか、そういうことやって言うこと聞かせりゃいいのに。君らならできるだろ」

『先ほど申し述べた通り、我々はあくまであなたに協力を要請しています。もちろん強硬手段に訴えることは簡単ですが、実を言うとそれは、こちらにとっても困ることなので。私個人としても、あなたとはよい関係を築きたいのです』

 これは推測ですが、と言い置いて、ミラはふと視線を外す。おれは知らず詰めていた息をゆっくりと吐き出す。

『……そうですね。あなたの心には枷があるようです。悪い枷ではなく、むしろそれで以て精神を保っている、決意のようなものがありますね。そう、端的に表現するなら、夢、でしょうか』

「……知ったようなことを」

『いいえ、分かるのです。私は産汐ですから』

「それが君の能力……っていうか、ウブシオとやらの力かい」

 それも指導者に必要な力なのだろうか。もちろんおれを従わせるための嘘だという可能性はあるが。見たところミラは交渉人としてそれなりに抜け目のない女だし、必要なら嘘を言うこともためらわないだろう。だが、そういう非現実的なはったりは得意ではないタイプだと思う。こればっかりはおれの個人的な勘に過ぎないが。

『そうです。具体的に言えば、喞殻しょっかく——生物の放つ心の『波』を感じ取る器官……陸の人々は『うみうさぎの耳』と呼ぶようですが、それを産汐は備えています』

「へえ。ちょっとした超能力だな。それを君やそいつは持ってると……」

『より正確には、得たというべきですね。素質のある人間が生きた燦海の捕食を受け、FOAMウイルスに感染すると、産汐となります。艦船に搭載されるパッシブソナーのように、相手の心の動きや構造を読み取ることができる器官ですね』

「ふうん……ちょっと待て。とすると、産汐ってのはほんとに他人の心が読めるのか。まじで超能力者だな」

『我々の標的とする彼はまだでしょうが、喞殻の扱い方に習熟すれば、いずれはできるようになるでしょう。当事者としての感想は、そんなに万能な力でもないが、何となくできることが増えるような感じがする、というくらいのものですね。そして、その能力があればこそ、私があなたを捕虜や人質のように強硬に従わせるのではなく、協力者としたい理由がご理解いただけるはず』

「……普通に考えたら、相手が嘘を言ってたら分かるし、交渉も有利に進められそうなもんだがな。むしろその力でおれを従わせたって構わないはずだぜ、君は」

『申し上げたでしょう。我々はあなたにも彼にも強制はいたしません。しかし、そうすることであなたの夢にとってより大きな益があれば、我々への協力も選択肢に入るかと』

 おれは彼女を見る。ずいぶん熱を入れて話すものだ。上から指示だけ振っていればいいものを、どうしてこいつは説得にこだわるのだろうか。

「そこが分かんないんだよな。おれに何をさせたいんだ。別にラ・グロイールにとってもTPにとっても、おれは重要人物じゃないからな。その産汐の餓鬼にしたって、配属が違うから面識もないぜ」

『では、その理由をお話しします。なぜあなたでなければいけないのか』

 やっと本題に入ったな。いや、こいつのせいにするのは大人げない。どうもおれは、この女と話していると脱線してしまうようだ。

 そしてもしかしたらそれは、ミラも同じなのかもしれない。おれがあちこちに興味が引かれるもので、彼女との会話で話題を振り回している自覚はもちろんあるのだが。同時に、自覚的なのか無自覚なのか、彼女自身がおれとの議論そのものを楽しんでいるようにも思える。

『素養のある者が産汐として発現するためには、生きた燦海のフォーマイトを受け入れる必要があります。そして同時に、自身を捕食した燦海の『波』と自身のそれが共振するということも必須の条件です』

「……」

『半ば事故のようなかたちで産汐となった彼は、おそらくまだ、自身の変化に戸惑っているはず。現在はTP社に身柄を回収されているようですが、検体として実験に利用されるかもしれません。彼への、そういった非人道的な扱いを防ぐことも我々の目的の一つです』

 なるほど。彼女の言うことが本当なら、確かにおれも、そういうのを見過ごすのは気分がよくないかもしれない。しかし、おれとそいつが直接どう関係するのかはまだ分からない。とはいえ、何でも口に出して質問してしまうのはおれの悪い癖だ。ここは黙って、ミラの話を続けて聞くとしよう。

『実を言うと、想定外の事態が起こったという点については、燦海とともに人員を派遣した我々も同じなのです。燦海を移動手段とし、最小限かつ最速の方法で以て障害を無力化し、目標を回収する。そういう手筈でした。実際件の燦海は、単に移動手段兼衝角戦力として用意したのですが、あなたを含むラ・グロイール社の警備が予想以上に善戦したことでこちらの人員が全滅、燦海への指示伝達ができなくなってしまった。その結果として燦海はハーバート氏の脚部および標的の少年を捕食し、彼は産汐となった。事故的な状況で彼が発現したというのは、つまりこういうことです』

「……で。そのこととおれはどう関係するんだ。君の言い分では、おれは君らの作戦を邪魔した人間ってことだろ」

『いえ、むしろあなたの存在が鍵なのです。通常燦海は習性として、捕食目的以外で人間を攻撃しませんし、威嚇行動も取りません。それにもかかわらず、あなたは、自身の肉体の一部だけを捕食された。これはとてもイレギュラーな出来事ですし、それによってあなた自身もイレギュラーとなった』

「へえ。そりゃまた……いや、何でもない」

『続けます。あなたが昏睡している間、あなたの身体しんたいをあらためさせていただきました。承諾が事後になり申し訳ありません。ただその結果として、興味深い事実が分かりました。確認ですが、あなたはもともと身体障害をお持ちではなかったですね……』

「ああ、うん。育ったとこにはそういう奴もいたがね」

『左様ですか。申し上げた通り、確認したかっただけです。先天性の身障者であれば、FOAMウイルス感染による死亡が起こらないケースもあるのですが、あなたはそうでない。しかし、現に先天的健常者のハーバート氏に結晶化は起きていない。よって、あなたとあなたの脚部を捕食した燦海との間に紐帯ちゅうたいが生まれていることが予想されます』

「じゃあなにか、おれも君みたいな、そのウブシオとかいう超能力者になっちまったってことか」

『いえ、そうではありません。しかし、産汐のそれに近い体質を一部、後天的に備えるようになったのです。具体的に言えば、不完全な被捕食活動によってあなたの脳が変質を起こし、それを通じてあなたとあなたの足を捕食した燦海との間に、一種の精神的な繋がりができてしまった。ペアリングした無線接続端末のように、特定の条件下で、喞殻を通じて一部の認識が受信される状態ですね』

 ずいぶん話が抹香臭くなってきた。うみうさぎから飛んでくる怪電波を避けるために、アルミホイルのヘルメットでも被れというのだろうか。そんな冗談を言えるような雰囲気ではないが。

「……よく分からないが、おれに『うみうさぎの耳』はない……んだろう。具体的にはどういうことが起きるってんだ……」

『件の燦海とあなたの間にある精神的紐帯を比喩的に表現するならば、信号の発信機と受信機の関係というのが最も近いです。活性状態の喞殻は常時、個体における認識の『波』の発信を行っており、双方が喞殻を持つ場合は受信が可能となります。燦海はこの性質を用いて相互の情報を共有しているのですが、ハーバート氏の場合、松果体が喞殻に準ずる形態に変質していて、『波』の発信こそしていないものの、特定の周期の『波』を受信してしまう状態になっています。端的に言えば、特定の燦海からの『波』を受け取る、専用の受信機が脳に形成されたということです』

「なるほど。ええとつまり、そうすると。ラ・グロイールを襲った例のうみうさぎから出る『波』を今、おれは受信してると。実感としてはよく分からんが。で、それがその餓鬼とどう関係するんだ」

『結論から申し上げますと、ハーバート氏の足を奪い、彼を攻撃した燦海は現在、もうこの世にはいません。産汐として発現した少年によって、その喞殻を形成していたフォーマイトごと捕食・吸収されたと思われます。ですので、現在ハーバート氏が受信している『波』は、産汐である彼から発されているものなのです。産汐と繋がった人間の例は大変珍しいですが、初めてではありません。我々があなたを確保し協力を要請しているのは、彼と繋がったハーバート氏こそ、我々が彼と接触するための鍵となるからです』

 なるほど、ようやく話が見えてきた。その産汐の少年が出す『波』とやらを感じ取れるおれを味方につければ、海伏は少年に近づけるのだろう。もしかしたらおれの受信能力を利用して、そいつを海伏側に取り込む気かもしれない。

 おれは、海伏とそいつをマッチングさせるキューピッドになりうるということだ。

「なるほど。おれを利用して、餓鬼に近づこうってんだな。おれに嘘を言われちゃ困るから、力づくで従わせることも避けたい、と。まあ君らなら、おれが嘘を言ったって分かるんだろうが」

『ご理解いただけたようで何よりです。ではご返答を。そして、あなたの条件をお聞きしたい。どこまでなら我々に協力できるか。そして希望する報酬があれば、それが我々の用意できるものである限り調達し、提供することもお約束します。ご返答にお時間は必要ですか』

「おれ自身が影響を受けていて、君はおれが嘘を言ってても分かる、と。……なるほど。状況的には、おれはあんたらと一緒に行動した方がよさそうだ。そうだな、仮に協力するにしても、全面的にとは言えない。その餓鬼に接触して、取り込むにしろ、解放するにしろ、そいつ自身に選択させてやることが譲れない条件だ。それまでの協力なら考える余地がある。あと当面、ここで雇ってもらいたい。気絶したまま海ん中運ばれてきて、素寒貧なんでな」

『それだけでよいのですか。もちろんそれだけが条件なら了承しますし、協力料ということで生活の支援はこちらでするつもりでしたが……』

「実を言うと、おれは退屈なんだ。陸も海も、生きるので精いっぱいの憂鬱な人間で飽和しちまってる。少なくともおれが今まで生きてきた場所ではな。だからおれたちは夢を見ようとするし、叶えようとする。それだけがおれたちに残された最後の尊厳だからだ。君らが海を祀るのだって、根っこを辿ればたぶん同じような理由に行き着くんじゃないかと思うぜ」

 ミラは黙って聞いている。おれは調子に乗っていて、久しぶりに気取った口調になっている自覚がある。

「世界を見てえ。色んなことを知りてえんだよ、おれは。同じことの繰り返しはもう飽きた。動けるうちに先の見えない閉塞感をどうにかしようと警備員なんぞやってみたが、向きじゃねえ。実際死にかけたしな。おれにとって、ここに来れたのはむしろラッキーだ。君らのことも知りたいんだ。君らがどんな生活をして、どんなことを考えて日々を生きてるのか。宗教に入信するつもりはまあ、今のとこないが。君らの目論見がどんなものか、それで世界がどう変わるのかには興味がある。それを見届けさせてくれ。だから君は思う存分おれを転がせ。おれも君らを利用する」

『……あなたのご要望にぴったりの人材がここには出入りしていますし、ご期待には沿えるかと。また、私としても誠意ある対応を心がけましょう。それでよろしいですか』

 肯定の証として右の拳を突き出すと、ミラはその手を不思議そうに見つめた。口元を隠した布で見えにくいが、こういう表情をしているところを見ると、やはり幼い顔立ちをしているようだ。

拳合わせフィスト・バンプだよ。知らねえの」

『……なるほど。しかし——』

 妙に恥じらう彼女を見て、いたずら心が湧いた。少し強引かとも思ったが、細い手を迎えに行って指を重ね、拳を作ってやる。彼女の手は少しだけ湿っていて、体温が高かった。

 瞬間、脳裡に弾ける光、像。鼻の奥に海の匂いが広がる。三日月のように湾曲した、海緑色に輝く異形の義足、そして、褪せた茶髪に縁どられ筋張った面輪に浮かぶ、世を拗ねたような瞳。この顔を、この少年をおれは知っている。

『——ハーバート氏。大丈夫ですか』

 真上から、微かに心配の滲んだミラの声。おれは目を開く。

 彼女に手を取られている。視点が低い。窪地にいるのは同じだが、寝かされているようだ。気を失っていたのか、おれは。

「悪い。よく分からんが、気絶しちまったみたいだ」

『そこまで長い時間ではありませんでしたが、そのようです。あなたの変質した松果体と私の『波』とが一瞬、干渉を起こしてしまったようで。大丈夫ですか』

「問題ない。さっきまでは君に触れても何ともなかったのにな」

『申し訳ありません、急に触れられると思わず、私の『波』のコントロールがきちんとできていませんでした』

「いや、おれの方こそ勝手にすまん。それよりちょっと知りたいことがあるんだけどさ」

『はい。何でしょうか……』

「君らが追ってるその餓鬼の名前、教えてくれないか」

『はあ、はい。彼は、ガシュウ・ヨクトという名です。十六歳』

 半ば無意識に、その名をおれの唇がなぞる。

 ガシュウ。忘れもしない、おれの短い人生を通算すれば、存外に因縁浅からぬ男の名と言える。とはいえ、こんな場所で聞くことになるとは思いもよらなかった。それどころか、この先一生会うこともないだろうと思っていた奴だ。

 おれの親はどちらも統一軍の兵士だったそうだ。情勢の影響が比較的穏やかな後方基地に勤めていたが、おれがごく幼い頃に戦死したと聞いた。おれ自身両親のことは覚えていない。そういうわけで親のいないおれは、ガシュウと同じ施設で育ったのだ。

 あいつはおれより一歳年下だったが、おれとは後遺症が残りかねない喧嘩をしたことがある。だから覚えていた。確か施設の蔵書の、おれのお気に入りだった恐竜図鑑を奴が読みもしないくせにずっと独占してやがったので、苛立ったおれが声をかけたのが最初だったと思う。おれもあいつも決して喧嘩っ早いタイプではなかったのだが。

 はじめはおれもガシュウ——当時はヨクトと下の名で呼んでいたが——を殴ろうなどとは思ってなかった。だがこともあろうに、振り向きざま重たい図鑑の角で眼を突いてきやがって、危うく失明しかけるところだった。奴は相手をおれに限らず、身体的なハンディキャップを補うためか、相手が大人だろうが同年代だろうが、敵対者とみれば一発めからしゃれにならない攻撃をするところがあって、そのせいで相手も引っ込みがつかなくなり、余計争いが泥沼になりがちだったように思う。

 当時を振り返れば、おれはずいぶん大人げなかったと思う。ただ、あらゆることに興味を持たず、常に余裕ぶっているようにも見えるあいつに、正直むかついていたのも事実だ。実際のところは案外、奴もそれどころでなかっただけなのかもしれないが。

 こちらから手を出さなければ無害な奴だったので、じきに会話もしなくなり、機を見ておれは施設を出た。数年後風の噂で、あいつも就職したと聞いたが。

「ガシュウはラ・グロイールの職員だったのか」

『ええ、そうです。こちらの調べでは、二年ほど前に雇用されたとのこと』

 どんな因果か、おれと同じ会社にいたとは。おれも施設を出てからこっち、あちこちふらふらしていたとはいえ。そして今や、おれと得体の知れない絆で結ばれてしまったなどとは。

施設にいた頃に殺し合いかけたおれを、あいつは覚えているだろうか。

「すまん。さっきの話だが、あと一つ条件を呑んでくれるなら、全面的に協力する気になった。後出しで悪いが、一つ追加させてくれ」

『はい、お気になさらず。何でしょう』

「なに、ちょっとしたことだ。おれが君らに協力して、あいつと、ガシュウと接触できたら、おれにあいつと話をさせてくれ。五分でいいから」

 あいつが施設を出てから何を見て、何を感じてきたのか。不条理なこの世界をどうやって乗り越え、海へ出たのか。そしてどんな夢を持つようになったのか。それを知ることも、おれの責任かもしれない。

 おれはあいつを知りたいのだ。

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