第6章132話:最後の必殺技

「次で決めるわ。ウチの最高の斬撃、受けてみぃ!」


チサトンが、ここぞというときに選ぶ技。


それはもちろん―――【絶花】。


彼女は、その場に仁王立ちをする。


刀を天へと掲げる。


夢想剣状態むそうけんじょうたいの、あらぶる蜃気楼しんきろうのようなオーラをまとわせて。


「……」


チサトンの【絶花】に対抗するために、ルミは、何を選ぶ?


さきほどのルミは、ルミ版の【絶花】で形勢を巻き返そうとした。


だけど。


今回ルミは【絶花】を選択しない。


他人の剣を使うのは、もう辞めだ。


それは、自分ではない。


自分らしくない。


ルミが、ここぞというときに使うのは―――そう。


「……!」


フィギュアスケーターのようにステージを駆けはじめる。


くるくると回転し、滑るように移動し。


遠心力を溜める。


【剣舞】――――


そして。


背筋に、力を込めた。


自分史上、最高の斬撃を放つために、ここで全てを出し尽くす。


ルミは背筋に、残るすべてのエネルギーを集中させる。


「いくで―――夢想剣・絶花!!」


チサトンが【絶花】を炸裂させる。


ルミが、剣舞&背筋を込めた斬撃で、放つ。


だがルミは気づいていた。


普通に打ち合ったら負けると。


だから、あと一歩のアイディアが必要なのだ。


夢想剣・絶花を越えるための、アイディアが。


「――――」


チサトンの剣と。


ルミの剣が、近づく。


そこで、ルミは、ひらめいた。


(スキル―――超攻撃!)


竜人王の討伐で得たソロ特典―――【超攻撃】。


次の攻撃だけ、攻撃力が1.5倍になる強力なバフスキル。


このスキルを使うとしたら、ここしかないだろう。


ルミは、スキル【超攻撃】を発動した。


剣が黄金の光をまとう。


そして。


「ヅァアアアアアアアアアアッ!!」


「ハァアアアアアアアアアアッ!!」


チサトンの剣と、ルミの剣が、交差した。


爆発するような衝撃が炸裂する。


衝撃の圧力が波動のように広がり、ステージの床をひび割れさせていく。


斬撃と斬撃の衝突音は、大気が割れるような轟音だ。


果たして。


勝ったのは――――




―――――――――――――

あとがき:

『超攻撃』の設定を攻撃力10倍上昇から、1.5倍上昇へと修正しました(10倍の威力だと強すぎるので)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る