第6章131話:名勝負

ルミは、斬撃を放つ。


チサトンは、それを軽々と受ける。


ルミは、敗北を拒否し、勝利のためにあらがうことに決めた。


とはいえ。


それでもチサトンの攻撃は、そんなルミの想いごと踏み潰す勢いだ。


「ぐっ!!」


ルミが吹っ飛ばされる。


だが。


「ハアアアアッ!!」


すぐさま体勢を立て直して反撃する。


背筋に力を込めて。


エネルギーを解放。


超威力の攻撃を叩きつける。


「……」


それをチサトンは余裕で受け止める。


けど、めげない。


ルミは、さらに追撃を加える。






神埼「なんという戦いでしょうか! あまりに凄すぎて、わたくし、言葉を失っております!!」


新田「名勝負だな。チサトンが優勢だが」





実況が、チサトンとルミの一戦を賞賛する。


観客たちは、チサトンを応援しつつも、内心では二人の戦いに、純粋に見惚れていた。


それは、ネットで生配信を見ている者も。


テレビで生中継を見ている者も。


みんな同じだった。


チサトンとルミの戦いは、間違いなく、日本最高の一戦であり。


素晴らしいの一言に尽きる。


この戦いは、永遠に語り継がれるだろう。


いつまでも名戦として、人々の記憶に残り続けるだろう。


だが――――


その戦いは、わずか30秒しかなく。


あっという間に、クライマックスの時を迎える。


「まさか、ここまで粘られるとはな」


チサトンは告げた。


夢想剣に入って、そろそろ20秒が経つ。


チサトンにはもう、後がなかった。


夢想剣の持続時間は約30秒。


だらだらと時間を使うわけにはいかない。

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