第6章121話:チサトンの反撃

「ハァアアアアアッ!!」


チサトンが地を蹴る。


烈火のごとく気合を炸裂させながら、ルミへと斬りかかる。


「ふっ!!」


ルミが背筋エネルギーに任せた超斬撃を放ってくる。


その斬撃がチサトンの刀ごと、チサトンの身体を跳ね返す。


「ぐっ!!」


チサトンは吹っ飛ばされて転がる。


だがすぐに受身を取って立ち上がり、さらにルミへと斬りかかった。


「ラアアアァァァッ!!!」


そこから激しい斬撃の応酬が始まる。


全力で斬りかかるチサトン。


圧倒的な力で跳ね返すルミ。


互角の戦いではなく、ルミがかなりのレベルで優勢だが、チサトンも必死で食い下がっている。





「うおおおおおおおお!!」


「チサトン頑張れ!!」


「負けるな!!」


「チサトーン!!!」


「いいぞ! 食らいついてる!」


「絶対勝てるぞ!!」


「チサトン、チサトン、チサトン!!」






観客も必死で応援する。


さきほどよりも激しい攻防であり。


耳がおかしくなりそうなほどの斬撃音がこだましている。


だけど。


チサトンの心には、観客の声がしっかりと届いていた。


(不思議なもんやな……ボコボコにされたあとのほうが、ファンの声が耳に響くわ)


まるで目が覚めたような気分だった。


耳がクリアになっている。


(そうや。自分の背中を支えるもんが何か、思い出せ。ウチはいつだって、リスナーに支えられてきたんやろ)


そのリスナーたちは、現在、観客として一番近くで応援してくれている。


テレビやネットの向こうでも、応援してくれている人たちがいる。


そういう応援が、心を熱くする。


いつもより自分を強くしてくれる。


(勝つんや……!!)


相手がどれだけ強大でも。


勝利を掴み取る。


力が足りないなら、思いきり剣を振れ。


技術が足りないなら、頭を使え。


気合が足りないなら、もっと心に燃料を注ぎ続けろ。


――――勝つために死力を尽くす。


何も難しくはない。


ずっと、自分がやってきたことだ。


「ハァアアアアアアアアッ!!!」


気合の一撃を放つ。


ルミに楽々と受け止められても、もう動じない。


ショックに打ちひしがれている暇があるなら、次の斬撃を考える。


勝負はまだここからだ……!

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