第6章119話:応援

自分は戦えるか?


戦える。


身体だけなら動く。


だけど、心が、折れてしまっている。


ルミに届くビジョンが見えない。


戦ったところで……


そう思った、次の瞬間。


歓声が爆発する。






「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」


「起きたあああああああああ!!!」


「チサトン!!」


「まだ戦えるぞ!」


「こんなところで終わりじゃない!!」


「チサトン、チサトン、チサトン!」





歓声。


歓声。


歓声。


声援、応援、拍手。


会場を埋め尽くすほどの声が、巻き起こっている。


その声が、やがて一つの音頭を取る。





―――チ・サ・ト・ン!―――



―――チ・サ・ト・ン!―――



―――チ・サ・ト・ン! チ・サ・ト・ン! チ・サ・ト・ン!―――



―――チ・サ・ト・ン! チ・サ・ト・ン! チ・サ・ト・ン! チ・サ・ト・ン! チ・サ・ト・ン!―――






実況が解説する。


神埼『おおっと! ここでチサトン選手の名を呼ぶ大合唱! いわゆる、チサトンコールだあああぁ!!』


新田『ちっ、うるさいな……』


神埼『ま、まあまあ……』


新田が悪態をつくが、その声すらかきけすほどに、チサトンコールが響く。







―――チ・サ・ト・ン! チ・サ・ト・ン! チ・サ・ト・ン!―――






チサトンの心に、小さな火が灯る。


その火は、最初はともし火のように小さかったが、やがてどんどん大きくなっていく。

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