第6章110話:必殺技

「ハァアアアアアアッ!!」


「くっ!!」


チサトンが3回転しながら放った斬撃。


回転によって乗せられた遠心力が炸裂し、ルミがズザザッと大きく後退させられる。


「ウチの本気、そろそろ見せたるで!」


「!!」


チサトンがその場に仁王立ちとなり。


刀を、天へと掲げた。


「習得に7年もかかった奥義や。受けてみぃ!」


チサトンの雰囲気が変わる。


不敵な笑み。


鬼気迫ききせまるようなオーラ。


かつてない最強の斬撃が繰り出されることが予想できた。


ルミは身構える。


「いくで!! 必殺剣ひっさつけん―――絶花ぜっか!」


次の瞬間。


チサトンの姿がかき消える。


しかし、ルミには、かすかに見えていた。


まるで雷が飛んでくるような――――


超エネルギーの激流が、ルミに向かって迫ってくることを。


ルミは慌てて防御に入る。


だが。


「あがあぁっ!!!?」


ズバアアァンッ!!


と、強烈な音とともに、


ルミは吹っ飛ばされた。


防御は間に合った。


しかし、防御ごと総身そうしんを打ち抜かれるような激しい衝撃。


もんどり打ち、地面をめちゃくちゃに転がる。


脳震盪のうしんとうを起こしたか、頭がぐわんぐわんと揺れた。


全身に突き抜けるような痛みと衝撃が走っている。




大歓声が巻き起こる。





「うおおおおおおおおおおおおおおお!」


「おおおおおおおおおおおおおお!!!」


「決まったああああああああああ!!!」


「チサトン、チサトン!!!」


「チサトンの勝利だ!!」


「すげええええええええええ!!!」


「必殺剣だ!」


「勝ったあああああああああああああああああ!!!」


「わああああああああああああああああ!!!」




まだチサトンは勝ってない。


まだルミは負けてない。


しかし、会場はもう勝ったような空気。


そう判断されても仕方ないような、とてつもない一撃であった。


ルミにも相当のダメージが入っていた。


ステージの床に寝転がったルミ。


倒れた敵に追撃を浴びせるのはルール違反なので、チサトンは攻撃をしてこない。


ルミは、


ゆっくりと、起き上がる。


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