第3章37話:隠し部屋、発見



『来花も結構強いじゃん!』


『さすがにルミほどじゃないけど、Bランクを無傷で倒せるのは凄い』


『デキるツインテール』


『戦闘よりトークが上手い』


『戦闘力のルミ、トーク力の来花』


『案外、良いコンビじゃね?』


『でも来花はAランク層になるとついていけないだろ』


『Bランクダンジョン限定のコンビだなw』


『二人で雑談配信とかやったら盛り上がるかもな』


『来花のチャンネルページ見てきたけど、ここ長野県の此間ダンジョンって書いてあるな』




ルミのリスナーたちも、来花にはおおむね好意的であった。


配信の反応は好調であり、来花のリスナーがルミのチャンネル登録を行うこともあった。


もちろん、逆もしかりである。


ルミと来花のリスナーが互いに行き来をするパーティー配信。


こういった配信は、場合によっては相手のリスナーを奪う形にもなる。


しかし、今回の場合は、リスナーを取り合うというよりはシェアを広げるといった形で、ルミ・来花、両名の知名度を上げることにつながっていた。


ルミの滅茶苦茶な戦闘力は、来花のリスナーたちにも鮮烈に見えたし……


来花の気持ちいい性格とトーク力は、ルミのリスナーたちを楽しませた。




配信は順調だった。


同接も順調に伸び、コメントも絶え間なく書きこまれた。


そして。


「ん……ここ、隠し部屋があるわね?」


12階奥の通路を歩いていたとき、来花がふいに立ち止まって言った。


ルミは尋ねる。


「隠し部屋の場所がわかるんですか?」


「ええ。あたしには探知スキルがあるの。で……ここの壁に反応があって」


来花が指をさす。


一見して、何もない壁である。


しかし隠し部屋がこの先にあるという。


そのとき、ルミのリスナーたちは盛り上がった。




『隠し部屋wwwwwwwwww』


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』


『壁パンチの時が来た』


『壁パンチいけwwwwwww』


『これは壁パンチしかありませんねw』


『いけええええええええええええ!壁パアアアアアアアアアアアアンッチ!!』


『今日の配信はこのときのためにあった!!!!』


『まさかの壁パンチ回wwwwww』


『来花さんナイスwwwwwwwwwwww』


『来花は見せ場を作ってくれたんだなw』


『これは殴るしかないぞルミwwwwwwwwwwww』


『壁パンチ! 壁パンチ! 壁パンチ! 壁パンチ!』





今回の配信が始まって以来の盛り上がりだった。


やはり、皆、壁パンチが好きなのだ。


ルミといえばスキプラ。


ルミといえば星石。


そう答える者もいるだろう。


しかし、統計を取ることがあれば、圧倒的に【壁パンチ】が人気なのは間違いない。


コメントを読んでいないルミでも、さすがにリスナーの空気を感じた。


ここはぶん殴るしかない……!


グランチューバーとしての芸人魂が、ルミの背中を押す。


「では、私がこじ開けます」


そうルミは主張した。

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