第3章33話:コスチューム



数日後。


金曜日。


夕方。


大学からマンションに帰宅すると、ルミはノートパソコンを開いた。


講義決めの期限が迫っていたので、シラバスを操作して、スケジュールを固める。


確定ボタンを押すことで、講義スケジュールが確定する。


取った講義は五コマだけだ。


―――月曜日の3限、4限。


3限が剣術実習A。


4限がダンジョン史I。


―――火曜日の1限、2限、3限。


1限がアイテム学I。


2限が英語実習(スピーキング&リスニング)。


3限が魔法学I。


以上、五つのコマが、ルミの春学期のスケジュールである。


まあ、ほとんどが探索者系の講義だね。英語以外。


そして毎週、水曜日から日曜日までの5日間は、完全に休みなので、自由なことをして過ごそうと思う。





そのあと、ルミは一つのスキル石をアイテムバッグから手に取った。


帰り道、鞘坂町の大通りにあるスキルショップにて、買ってきたものだ。


このスキル石には、以下のスキルが入っている。


◆◆◆


【コスチュームチェンジ】

現在、着ている衣服を一瞬にして着替えるスキル。

どんな服装に着替えるかをあらかじめ登録することができる。

登録したい服を着た状態で『コスチューム設定・コスチューム番号』という順で唱えよう。

着替えるときはコスチューム番号を唱えるだけでよい。


◆◆◆


これを使って、ルミは衣服の着替えを手軽にしようと考えた。


よく着る服装などは、一瞬で着替えられたほうが便利だしね。


というわけで、まずはスキルを習得。


……。


……よし、習得できた。


あとは衣服の登録だ。


とりあえず今の服装……肩出しブラウス・スキニーパンツを登録しよう。


「コスチューム設定、コスチューム番号1!」


すると、身体が光った。


スキルの発動を感じる。


これで登録できたのだろうか?


まあ、確認はあとにして、とりあえず次の服を登録しよう。


次は、ダンジョン攻略時の服である。


蒼コートとスカート。そして仮面。


以上の服装に着替えた状態で、ふたたび唱える。


「コスチューム設定、コスチューム番号2!」


ふたたび、身体が光る。


よし、これで完了のはずだ。


実際にちゃんと登録されたか、確認してみよう。


服を着替えるには、コスチューム番号を叫べばいい。


「コスチューム番号1!」


そう唱えた瞬間、1秒にも満たない時間で、ルミは肩出しブラウス・スキニーパンツの姿に変わっていた。


成功である。


念のため、戦闘衣に一瞬で着替えられるかも確認しておく。


「コスチューム番号2!」


やはり1秒にも満たぬ間に、ルミは蒼コートと仮面の姿に変身する。


ふむ……完璧だ。


(このスキル……めちゃくちゃ便利ですね。買ってよかったです)


まあ、10万もする高級商品だったけどね……。


でも、大枚はたいて手に入れた甲斐があった。


これなら、今後の着替えは一瞬で行えるだろう。





寝る前。


明日の朝10時から配信を行うことを、告知しておく。


本当はもう少し早めに告知しておいたほうが良かったのだが、まあ、いきなり始めるよりはマシだろう。


そして翌日。


土曜日。


朝。


晴れ。


この日、ルミは配信を行うため、ダンジョンに出かけることにした。


場所は、二つ隣の町である此間町(これまちょう)――――


そこの駅から15分ほど行ったところに存在する【此間ダンジョン】である。


町外れの森の中。


森に入ってすぐのところに入り口の扉があった。


人気のダンジョンなのか、何人かの探索者が入場していく姿が見える。


現在のルミは私服姿であり、戦闘衣ではない。


中に入ってから着替えるつもりだ。


(とりあえず、入りましょうか)


ルミはダンジョンに入場する。


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