第2章27話:鞘坂第三ダンジョン



日曜日。


朝。


晴れ。


鞘坂で一番難易度が高いとされる【鞘坂第三ダンジョン】にやってきた。


鞘坂ダンジョンは、第一、第二、第三があるのだが、この第三ダンジョンは上級者向けであり、Bランクモンスターが中心となって出現する。


とりあえず7階まで潜る。


ひんやりとした洞窟のような景色。


ここまでくると、もはや他の探索者の姿は見当たらない。


左右40メートルぐらいの石部屋を見つける。


そこでルミは、スキル石を使用した。


スキル石に魔力を注ぎ込む。


するとスキル石が光りかがやき、その光が、ルミの身体を包み込む。


やがて、光が消えると、スキル石はただの石くれになって砕けていた。


これでスキルの取得は完了だ。


スキルは頭の中で唱えることで使用できる。


さっそくやってみよう。


とりあえず20メートル前方に移動するイメージをしながら、唱える。


(瞬間移動!)


すると。


シュッ、と視界が一気に切り替わる。


気づけばルミは、さきほどの位置から20メートル進んだところに立っていた。


瞬間移動、成功だ。


「とりあえず、普通に移動するのは成功ですね」


他にいろいろ、できること、できないことを試していく。






1時間後。


あらかた試し終えたルミは、わかったことを手帳にメモすることにした。


これで忘れることはない。


よし、このまま動画を録ってしまおうか。


一応、録画の器材は持って来ているし。


というわけで。


この鞘坂第三ダンジョン・7Fにて、配信を開始することにする。


動画タイトルは……


『ダンジョンボスのスキル石……中に入っていたのはコレです』


うーん、このタイトルは普通すぎるかな?


よし、もうちょっと具体的にしよう。


あと語尾はフックにする感じで。


『魔王騎士のスキル石。入っていたスキルは……?』


まあ、これでいいか。


さて、開始しよう。


ルミは配信開始ボタンを押す。


配信が始まると、チャンネル登録者に自動的に通知がいく仕組みだ。


配信開始すぐに、爆速で同接が増えていく。


ちょっとビビッてしまうような速度であった。




『お』


『おおおおおおおおおおおお』


『始まったああああああああああああ!!!』


『ルミの配信!』


『待ってました!』


『前回から一週間と1日』


『待ってたああああああああああああああああああ!!!』


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおwwwwww』


『ルミいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!』


『きたぜwwwwwwwwwwwwww』




コメントも爆速だ。


みなさん、本当にありがとうございます。


こんな自分の動画を見にきてくださって……。


ルミは心の中で感謝を述べながら、行動を開始した。


「瞬間移動、やります」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る