第2章26話:自分へのご褒美


その夜。


マンションの自室。


夕食後。


ルミはリビングでごろごろする。


彼女はとても機嫌がよかった。


理由はもちろん、フリーパス試験に合格したからである。


(無事合格できてよかった……)


どんな試験になるかと思ったけど、単純な試験で助かった。


これで25単位は確保。


今年はもう、1度も講義を受けなくても留年はない。


もちろん受けても構わない。


だから、本当に履修したいと思った講義だけを取捨選択して取ろうと思う。


何にせよおめでたい日だ。


帰りがけに1つ5000円ぐらいする高めのラズベリーケーキを買ってきた。


今日合格した自分へのご褒美として、これを食べようと思う。


ちなみに飲み物はキウイソーダを買ってきた。


「ん~~、美味しいです!」


ラズベリーケーキを食べる。


まろやかなホイップクリームの甘味、上品でとろけるような生地、そしてラズベリーの酸味。


それらが絡み合って、複雑な甘味と酸味が口いっぱいに広がる。


そして、そのあと、ガラスコップにうつしたキウイソーダをあおる。


酸っぱい!


でも美味しい!


さっぱりして、ケーキの甘味が一気に消える。


最高のデザートだ!


「まあ5000円もしましたからね、美味しくなかったらひどいですよ」


ケーキをバクバク食べていく。


食べ終わる。


おもむろに、携帯でチャンネル登録数などをチェックした。


チャンネル登録数は、107万となっていた。


いよいよ100万を越えたのである。


なおPV数は2600万を記録している。


相変わらず驚異的な伸びである。


まあ、それはそれとして。


そろそろ次の配信の準備をしようかと思った。


さすがにグランチューバーとして、動画が一つだけというのは、寂しい気もするしね。


でも、どんな配信にしようかな?


またダンジョン攻略する?


「うーん……」


考える。


考える。


考える。


あ、そうだ。


(前回のダンジョンで拾ったスキル石……あれに関する動画はどうでしょうか)


ダンジョンボスであった鎧戦士。


ネットでは【魔王騎士】という呼称で確定したようだが、あいつが落としたスキル石がまだ未使用である。


瞬間移動のスキル石。


これに関する動画を録ったら、盛り上がるんじゃないだろうか?


あのスキル石がなんだったのか、気になっている人、結構いるみたいだしね。


(まずはスキルを習得して、スキルを試用してみる必要がありますね)


というわけで、明日、鞘坂にあるダンジョンで、実際に使ってみることに決めた。

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