第2章22話:ランチ


大学の講義は90分である。


朝一の時刻である9:00に始まった1限の【魔法学】の講義は10:30に終わる。


20分の休憩を挟む。


10:50から2限が始まり、ルミはコトリと一緒に【ダンジョン学概論I】を受けてみた。


終わった時刻が12:20である。


ここから1時間の昼休憩が設けられており、13:20まで、講義はない。


昼休憩では、もちろんランチを食べる。


なので、ルミはコトリと二人で食堂にやってきたのだが……。


「食堂、混んでるね~」


食堂の混雑ぶりを見て、コトリが苦笑して言った。


券売機でチケットを買い、それを給食係に渡してランチを受け取る形式なのだが、その券売機に長蛇の列ができている。


待っていたら、それだけで昼休憩が終わってしまうのではないか?


「他の食堂もいってみますか?」


ルミは尋ねた。


この大学には食堂が五つも存在する。


4000人も在学生がいる大学だ。


学生を分散するための処置であろう。


「そうだね。せっかくだし、いってみよっか」


コトリが答える。


しかし、他の食堂にいってみても、状況はほとんど変わらなかった。


結局、食堂でお昼をとることは諦める。


大学の売店でサンドイッチを買うことにした。


コトリはトマトサンド、ルミはタマゴサンドである。


「食堂のご飯にありつくなら、いろいろ考えないといけないね!」


売店を出て、外を歩きながらコトリはそう言った。


ルミは尋ねる。


「そうですね。でも具体的にどうすればいいんでしょう?」


「昼休憩だから混むんだよね。時間をズラせば、空いているんじゃないかな?」


「時間をズラす……ですか」


「たとえば2限をフリーにして、昼休憩より早くいくとか」


「なるほど! あ……じゃあ逆に、3限をあけて、昼休憩より遅くいくこともできますね」


昼休憩さえ避ければ混雑が少ないはずだ。


2限か3限をフリーにしておけば、食堂のランチにありつけるという寸法である。


大学だからこそできるやり方だ。


「あるいはもう、食堂じゃなくて大学の外に食べにいくのもアリだね」


「あぁ……そういえば、大学の出入りは自由ですもんね」


「そうだよ~。大学以前の感覚が抜けないけど、結構フリーダムだよね。大学って」


「ですね。あ、それでどこに向かってるんですか?」


「ああ、こっちこっち。結構良いところがあるんだ」


大学内部には広場や中庭がいくつもある。


今回はコトリの案内で【商学科棟】の中庭テラスにやってきた。


ここは棟に囲まれた縦横30メートルぐらいのテラス。


天井が吹きぬけになっており、澄んだ青空が見えた。


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