第2章23話:友達



「こんなところがあったんですね」


「良い場所だよね。ここのことは、去年のオープンキャンパスのときに知ったんだ~。じゃ、適当に座って食べよっか」


「はい」


サンドイッチを食べる。


「ん! 美味しい!」


コトリが食べた。


「ちょっと食べてみてよ!」


「え、いいんですか?」


「うん。そのかわりそっちのも一口ちょうだい」


「わかりました。どうぞ」


お互いに交換して食べる。


うん。


美味しい。


トマトの味わいがしっかり出ている。


アクセントとして入っているマスタードも吉だ。


「このタマゴサンドも美味しいね!」


「お、そうなんですか」


まだ食べてない。


ふたたび交換して、元に戻す。


自分のタマゴサンドを食べてみる。


おお。


美味しい。


ペッパーのスパイスと、キュウリがいい感じにアクセントになっている。


売店のサンドイッチ……やりおる。






4限終わり。


ルミとコトリは帰路についた。


帰りに、カラオケボックスに寄る。


人気のポップスやアニソンやボーカロイドを歌う。


意外なことにコトリは洋楽が好きで、よく歌っていた。


発音が綺麗だった。


英会話教室にずっと通っていたらしい。


19時になったあたりでカラオケボックスを出る。


そのあと、交差点の角にあるファミレスに寄って夕食を食べる。


ここで他愛も無い話に雑談を咲かした。


おかげでコトリのことをいろいろ知れた。


コトリは【探索者学部・魔法学科】の所属であること。


回復・補助魔法に特化した魔法使いであること。


大学には実家からの通いであること。


逆にこちらも自分のことを話す。


自分は剣術学科の所属であること。


下宿先のマンションで暮らしており、実家は道場だったこと。


……さすがにルミちゃんねるのことは話さなかったが。


「あ、そうだ。連絡先交換しておこうよ」


コトリにそう言われ、ルミはうなずく。


携帯を取り出し、メッセンジャーアプリのIDや連絡先を交換した。


そうして20時になり。


ファミレスを出る。


途中まで一緒だったが、住宅街の入り口で別れることになった。


「今日は楽しかったよ~。ルミちゃんと友達になれてよかった」


「私もコトリさんと仲良くなれてよかったです」


「ふふ。それじゃ、また明日ね!」


「はい。また明日」


手を振って別れる。


コトリは大通りをまっすぐ向こうに歩いていく。


ルミは大通りの横道に入って住宅街へ。


まっすぐ歩いて、曲がり角にあるマンションにたどり着く。


「友達ができて、よかった」


ルミはそうつぶやく。


大学生活は、幸先不安なところもあったけれど、コトリと一緒なら上手くやっていけそうだと、ルミは感じるのだった。

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