第62話 エンディング

 三島造船の営業力を高める為にどうしたら良いのか禁忌図書館アカシックレコードで調べてみた。

 

 人員の増加(しかも営業成績の良い同業者が一番良い)と三島造船しか持たない技術のアピールなどを前面に押し出してどれぐらいのコスト削減になるのかといった事等をアピールするのが良いと出たので、三島造船の社長に指示を出す。

 

 1週間単位で報告書を出す様に言っておいた。


 三島造船にオリジナルダンジョンで禁忌図書館アカシックレコードを使った魔石発電の大型と巨大なコンテナ船の設計とプロペラの改良と最適化がそれぞれ終わったので、その通りに2隻を作ってくれる様に指示を出す。


 東京にも支店と家が必要なので2年前からの計画で東京駅の近くに(と言っても歩いて3~5分程だが)2棟の大型ビルを建てた。


 これは名古屋や大阪、神戸、京都、札幌にも建てている最中だ。ただし、各1棟だけだけどね。


 マンションから新しいビルの最上階に引っ越す事になり、引っ越し業者が大変だった。


 ビル2棟の内1棟は最上階は俺の自宅でエレベーターは直通で登録された人の指紋認証と暗証番号を押さないとエレベーターには入れない事になっている。非常階段はあるが、これも外側からなら登録されて人の指紋認証と暗証番号と鍵が無ければ開かない様になっている。


 もう1棟と最上階から下は貸しビルだ。

 

 この2棟には建築素材のコンクリートには建設会社:大福建設だいふくけんせつの技術と特許及び入れたら100倍以上の強度と雨や耐腐食性及び耐震性に優れ長持ちするレッドスケルトンの骨の粉を混ぜたコンクリートが使われている。


 ちなみにレッドスケルトンの粉は金属にも効果があるが、余りに堅すぎると研げないので鉄筋等にしか使用はしていない。錆にも強く、柔軟性や復元性はある程度あるので地震とかには強い。


 勿論これは秘密の事柄でレッドスケルトンの骨の粉末は大きなビニール袋に入れて俺達がわざわざ届けているので企業秘密以上の秘密だ。


 大体、レッドスケルトンの骨を粉にする事自体が現状では無理な事だから、発見される事も無いだろう。


 ◇◆◇◆


 そう言えば、アカシャを人間にする材料は全て揃ったので後は俺が禁忌図書館アカシックレコードに慣れれば良いだけなのだが、慣れているのかどうかは自分では判断が付かない。


 いや、進捗はあると思うが完全に制御できているかと言われれば疑問視せざるを得ない。


 そんな中、管理者から連絡があった。


「良い様に禁忌図書館アカシックレコードに馴染んだ様だね」


「馴染んでいますか? 自分ではまだまだだと思っているのですが」


禁忌図書館アカシックレコードを長時間使っていて頭痛とか体調不良音か起きる?」


「そういえば起きなくなりましたね」


「それが馴染んでる証拠だよ」


「でも、思う様に操作できませんよ?」


「それは自分の体も同じでしょ? 例えば完全に制御できてるなら手で鉛筆を持って真円を描く事が出来るけど実際は無理でしょ。それと一緒だよ」


「そうなのかな?」


「そうそう」


「て事は、アカシャの肉体をつくって意識を俺から移すんですか?」


「その準備が終わった様だから移すのはいつでも行けるよ。ただ、肉体は一度しか作れないから日本人のアニマだから日本人になるけど良いよね?」


「はい。それはそうですね。ただ、戸籍をどうしようかと思って悩んでいます」


「戸籍か~、それは肉体が出来た時点で経歴と一緒にこちらで何とかするよ、関係者の記憶も含めてね」


「有り難う御座います。それでしたら、アカシャは俺の会社での俺の秘書という事にして下さい。後、召喚獣達の戸籍も何とかなりませんか?」


「注文多いね。でも、分かったよ。召喚獣もアカシャと一緒で経歴や関係者の記憶を操作しておくよ」


「そういえばアカシャは俺と離れて肉体を持てば禁忌図書館アカシックレコードを持っているのでしょうか?」


「そこら辺は推測にしかならないけど、同じ人間から別れるんだから持っているんじゃ無いかな?」


「そうですか。それだったら良いんです」


「それでアカシャちゃんをいつ人間にする?」


「それはアカシャと話し合ってからじゃ駄目ですか?」


「それでも良いよ。ただ、後悔の無い様にね」


「有り難う御座います」


 そう言って管理者は去って行った。


 ◇◆◇◆


――アカシャ、さっきの管理者の話を聞いてたかい?


『うん。聞こえていたよ』


――それでアカシャはいつ人間になりたい?


『う~ん。人間かぁ。私って人間になりたいのかな?」


――なりたくないの!


『考えた事も無かったけど、管理者に言われてから考え始めてたんだけど結論は未だ出てない感じだね』


――ええ~! それじゃ、どうするの?


『もう少し時間をくれない? 何か喉元迄出かかっているけど引っかかっている感じなんだよね』


――それじゃ、1週間だけ待つよ。ただ、俺はアカシャと話せなくなるのは嫌だから人間になって欲しいのは覚えておいて。


『うん。分かった」


 そうしておれはアカシャとの話を打ち切った。


 ◇◆◇◆


 1週間が経ち、アカシャに結論を聞く日になった。


――アカシャ、それで答えは出たかい?


『うん。私も君と話せなくなるのは嫌だし召喚獣の皆とも話してみたいから今すぐに人間になるよ!』


――良かった! それじゃ、管理人を呼ぶね。


『うん』


「管理人、聞こえているかい?」


「聞こえているよ。それで決まったのかな?」


「アカシャは今すぐに人間になるって言っているよ」


「ほう。思ったよりも決断力があった様だね。良いよ。それじゃ、人間にして見ようか?」


「そんなに簡単に人間にできるの?」


「まぁ、材料があればね。材料を出してくれるかい? それと、別れる時に激痛が走るかも知れないけど頑張ってね」


「激痛! いや、がまんするけどさぁ……」


 そう言って俺はインベントリから竜の素材100体分とダンジョンコアを出した。異世界の扉はもう向こうから繋がっている。

 

「いや、これ何体分あるの? 4体分で良いって言ったよね。それにこんなに大きいダンジョンコアを持ってきてさぁ」


「100体分の生きている竜の素材と野良ダンジョンコアですよ」


「…………まぁ、これなら失敗する事も無いか。それじゃ、行くよ!」


 その言葉と共に俺の中から引き裂かれる様な感じがして非常に痛くて声も出ない。


 そうして退館時間で何時間経ったろうか? 急にプチンと切れた感じがして激痛は無くなったがじくじくと痛む感じが残った。


 目の前を見ると、人間の女の子が1人蹲っている。


「…………アカシャ?」


 そう言うと女の子は顔を上げて此方を見て言った。


「伸幸? 何とか人間になれたよ!」



―――――――――――――――――――――――――――――


 次話予告

 ついに人間になったアカシャ達の日々暮らしていく為の道具を買ったりするお話です。

 次回、エピローグです。

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