第56話 野良ダンジョンと関所

 ここいらで小さなダンジョンでも良いから近場のダンジョンで誰にも見つかっていないダンジョンを攻略してダンジョンコアを持ち帰ろうと思っている。


 それを禁忌図書館アカシックレコードで調べた所、この近くで見つかっていないダンジョンは大小合わせて8カ所ある。


 それらは全て100km圏内だ。


 ダンジョンコアの順にしたら面白い事が分かった。


 ダンジョンが一番小さいがダンジョンコアが一番大きくて敵の強さが他とは桁違いに強いダンジョンがここから30km先にある様だ。


 ここは未だ見つかっていないのでダンジョンコアを取りに行っても大丈夫だ。


 第1候補はここにするか。


 それで次の課題は管理者のダンジョンで一番近いのは何処かという事だ。


 禁忌図書館アカシックレコードでマップに表示して調べてみると第1候補のダンジョンの先にある別の国にある大きな港町が一番近い様だ。


 別の国になるので冒険者ギルドの紹介状を国を超える紹介状として書いて貰わないといけない。途中の関所での証明書類も書いて貰わないといけないし、これは結構な出費になると思う。


 実際に冒険者ギルドに行って紹介状を先程の国の港街用に要る分だけ作ってくれと言うと明日まで待ってくれと言われた。紹介状の金額は全部で金貨20枚だった。


 紹介状と交換の鉄の札を貰った。

 

 お願いして、宿屋の方に戻りベットに入り寝る事にする。


 翌朝、ギルドの方に行くと受付で昨日貰った鉄の札を見せると関所と街の分とその街の冒険者ギルドの紹介状を貰う事が出来た。


 ギルドの食堂で朝食を貰う事にする。


 まぁ、普通の食事といった所だった。


 朝食を食べ終えて、出発の準備をする。


 準備が終わったら、出発だ。


 門を出るときにいつもの遣り取りをして未発見ダンジョンに向けて出発する。


 出発してから1時間半程で洞窟に着いた。


 人気の無い森の中の奥深くにダンジョンはあった。


 今回は俺達だけなので光は点さずに暗視だけで行く。


 早速中に入る。


 洞窟の中はひんやりしていた。


 禁忌図書館アカシックレコードでダンジョンコアまでの道順をマップに表示してナビで案内して貰う。


 暗視のお陰で昼の様に明るい。


 暫く行くとネズミが走ってきた。その後をスライムが走って襲っている。


 スライムを手で持って中の核になっている魔石を抜き取る。


 そして残ったスライムの残骸は捨てる。


 そうしてダンジョンコアへの道を進んでいるとオルトロスが出てきた。


 双頭の犬でとにかく早い。


 だけども俺達に比べればとても遅い。


 腹を切り捨て真っ二つにする。


 魔石だけ取って、後は捨てておく。


 そうして攻略を進めて行けば、出るわ出るわ。モンスターの坩堝の様に奥に行く程モンスターが襲ってくる。


 お前、どうやってこの洞窟に入ったの?と聞きたい巨大なモンスターが出てきたりもする。


 それらの素材を剥ぐだけで一苦労だった。


 そうこうしてダンジョン最奥に来た俺達は最後の守りの大きな守護ドラゴンとにらみ合っている最中だった。


 さすがに守護獣は瞬殺できる程に弱くは無い。


 いや、切れば一発で終わりなのは変わらないのだけれど、その隙を与えてくれないのだ。


 こちら側から仕掛ける!


 俺の宵桜とエルサの弓が同時に仕掛ける。


 そうするとドラゴンはそれに対応してブレスを吐き移動や矢の軌道を逸らそうとする。


 そこにミアの糸攻撃がドラゴンの首に絡もうとするがそれを感じ取ったドラゴンがそちらにもブレスを回す。


 雷槍サンダージャベリン光奈香みなかが放ちドラゴン石壁ストーンウォールでそれを防ぐ。


 その壁が目隠しになっている間に身体強化で強化されている体を岩陰に身を潜め、宵桜の一撃を放つ機会を待つ。


 丁度俺が石壁ストーンウォールの壁に隠れて機会をうかがっているその瞬間に、エルサの矢がドラゴンの眉間を貫いて即死させた。


 あれ? 俺の出番は? ……あれ? …………ま、まぁ、パーティー戦だからこういう事もあるよね。


 そうして俺はエルサを褒めてドラゴンの解体に精を出した。


 解体の手順は大きさは違うが前のドラゴンの時と同じだった。


 インベントリに時間停止で全てを入れて、ダンジョンコアに向かう。


 ダンジョンコアは洞窟の壁と一体になっていたのでそこから掘り出すのに苦労したが、何とかダンジョンコアを手に入れる事が出来た。


 中々の大きさだった。


 ダンジョンコアをインベントリに入れて、洞窟を出て次は管理者のダンジョンのある別の国の港町に向かう。


 ◇◆◇◆


 ナビで関所を通る様に設定されてあるのでその通りに行けば良いので簡単だ。


 そうして2日がかりで国境の砦に着いた。


 国境の砦では多くの人が並んで順番を待っている。その列に俺達も並んだ。


 一応、偽装でアイテムバックを持ってその中に6人分の1週間分の保存食と食器類を入れているが、大丈夫だろうか?


 大分経ってから俺達の順番が来た。


 冒険者ギルドの手紙と認識票を見せる。その時に獣人に初めて会った。


 獣人は獣度が50%ぐらいの獣人だった。


 他を見ると獣度が20%や70%ぐらいの人達もいる。


 対応してくれてる獣人にお礼を払うので聞いても良いですかと言い、銀貨2枚を渡す。


 そうすると獣人の兵は脇に避けて俺達を招いて”何が聞きたいんだ?”と聞いてくる。


「獣人と会うのは初めてなんですが、この国には獣人の他にどんな人達がいるのでしょうか?」


「そうだな、エルフにドワーフホビットなんかもいるぞ。ホビットとエルフは珍しいので余り見かけないかも知れないがな」


「そう言った人達に失礼にならない様に気を付ける事ってありますか?」


「俺達獣人なら耳や尻尾を触らせてくれと言う人が多いからそれは辞めて欲しいな。エルフも同様に耳を触られるのは嫌だろう。それに耳長なんて呼んでは駄目だぞ。決闘騒ぎになるからな。それ以外は普通の人に対する態度で良いと思うぞ」


「そうなんですね。有り難う御座います。為になりました!」


「それじゃぁ、関所野続と行こうか。荷物はアイテムバックにあった保存食だけか?」


「後は身につけている武器などですね」


「そうか、不審な点はなさそうだしギルドの紹介状も持ってきているし、通行料を払ったら通って良いぞ」


「通行料は幾らですか?」


「1人金貨2枚だ」


「それでは6人で12枚渡しますね」


「確かに、それでは通って良し!」


 そうして俺達は別の国へと来た。


―――――――――――――――――――――――――――――


 次話予告

 一旦日本に戻って各種補給と薬の発明のお話です。

 次回、港町に着く前に補給しなくちゃねです。

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