第26話 ダンジョン襲来!
3月に入り大学の合否判定が次々には入ってきている。
合格と言えば宅建登録実務講習には受かった。
俺は宅健以外にも一応、全ての大学には通ったが何処に行くのか迷っている。
電子工学科に行くも良し、経済学部に行くも良し、医学部に行くも良しでバラバラだ。
ここは食いはぐれの無いように東大理Ⅲの医学部にでも行くか。
と決めたは良いのだが、この時期にマンションを借りるのにどんなけ苦労するのか俺は分かっていなかった。
安い所を探そうとしたら治安が悪いか交通の便が悪いか事故物件だ。
学生寮はいっぱいだし何より狭い!
金は稼いでいるのだからこんな時に使わなきゃと思うものの、勿体なくて安い所を探してしまう。
結局、26万ちょっとの所に落ち着いた。高いと思ったがしょうが無い。
アカシャに聞いてネットの安定度と早くて速度制限の無い所を探して貰った。
大家に許可を貰い、ネット回線の接続と工事を頼んだ。
幸い、建物に傷付ける事無く工事は終わった。
そうしたゴタゴタで3月は終わった。
4月は大学の説明や講義の件で大量の書類があり、それに追われてやはり終わった。
そして5月――中頃にアカシャが予言した通り奈良県の俺達が購入し、倉庫を作った場所にダンジョンが現れた。
それと同時に世界に管理者のメッセージが流れた。
「私はこの世界を管理している者だ。この度、他の世界とこの世界がぶつかりかけたので私が阻止をした。
だが、その際のトラブルで両方の世界にダンジョンが発生する事になってしまった。
ダンジョンには危険な魔物がいるが、倒してレベルを上げれば肉体も強度を増し、寿命も伸びるし顔も頭も良くなる。スキルも手に入る事がある。そして魔物が落とす魔石は未知のエネルギーに満ちている。
研究して使用方法が分かればクリーンなエネルギーになるだろう。
その他にもダンジョンには宝石や地下資源を含むお宝が眠っている。
だが、危険も同様にある。誰もダンジョンに入らず魔物の間引きをせずにいるとスタンピードが起こり、魔物が地上に満ちあふれるだろう。
各ダンジョンにはスタンピードまでの指針となる時計の針のような物がダンジョンの門には付いている。それが赤色の領域の最後まで来たらスタンピードの発生だ。青色の時はスタンピードの心配は要らない。
また、同じ階でレベルを上げ続けられる事は出来ないように各階にレベルアップの上限レベルがある。今まで以上に強くなりたければ階を上がれば良い。
そしてダンジョンを攻略した者がダンジョンコアに触ってスタンピードの設定をオフにするとスタンピードは起こらなくなる。
オフになった事は赤色の領域が無くなり青色一色になった事で証明出来るだろう。
代わりにその分のエネルギーがダンジョンが成長するか魔物が強くなる事で発散されるだろう。
ダンジョンコアを10個個人で同じ人物が攻略し、取得した者が居たらその者は異世界への道が開けるであろう。
だが、忘れるな!ダンジョンの中はその国の物にあらず。あらゆる無法地帯である事をゆめゆめ忘れるな。そしてダンジョンの怒りを買う事をした者にはダンジョンは二度とその扉をその者には使用させない事を知れ。
そしてダンジョンから手に入れた物を取り上げようとする物にはダンジョンの怒りが待っている。
また、無理矢理や卑怯な手を使いダンジョンの探索をさせようと言う者は個人、組織を問わずダンジョンの怒りを買うだろう。
最後に私からささやかなプレゼントだ。
以前配った能力を再度、今度は能力を授からなかった者に抽選で配る。ダンジョン攻略に役立ててくれたら嬉しい」
俺は言葉を聞くと、どっぺる君を使って講座に出て貰うことにして俺自身は転移魔法でダンジョンの攻略に乗り出した。
と言っても最大100階だからそんなに掛からないと思うけど。
こういう時の相棒の武器は長年使っていた千本桜に夜桜だ。
1階の広さが100km有るのでちょっと走りながらマップを埋めていく。
こういう時には高速思考や並列思考が便利だ。
敵に出会っても一瞬で終わる。
あっという間に一階のマップが完成する。
残念ながら隠し通路や隠し小屋は無かったようだ。
今回は階段を上がったらFがついていないので階で良いだろう。
同じ要領で2階、3階と進めていく。勿論ポータルの登録は忘れない。
変化があったのは15階を攻略している時だ。マップの壁の色が変化している箇所があったので辺り一面調べてみる。
変化している壁に小さなボタンがあったのでそれを押すと小部屋が出てきた。
そこにはおなじみのボーナスモンスターのカーバンクルがいたので瞬殺した。
宝石に本にスクロールをドロップしたが、直ぐに足輪に収納されてしまった。
さて、この部屋にある宝箱を夜桜で一応突いてみる。何も反応が無かったので、次は罠が無いか鍵穴を調べる。
何もなさそうだったので後ろに回って開けると、中には宝石と本にスクロールと足輪があった。
足輪は今使っているのと同じ所為か足輪は収納出来ないようだ。
丁度良いのでもう片方の足に付けて今までと同じスピードで走り出す。
少しだけ敵を殺した後のドロップの回収速度が上がったような気がする。
そういや、もうモニターダンジョンじゃ無いからアカシャに話しかけても良いんだった。
――アカシャ。
『・・・・・・何?探索中に話しかけて良かったの?』
――もうここはモニターのダンジョンじゃ無くて本物のダンジョンだからサポートを頼もうと思ってさ。
『あ!そうね、そうだったわ!早速サポートするわよ。この階層には隠し部屋も隠し通路も無いからさっさとマップを埋めて上に行きなさい』
――了解。ありがとう、アカシャ。
この階はさっさとマップ作って上がろう。
――アカシャ、この階は?
『この階はね・・・・・・』
そして俺は攻略していった。
51階にて、ポータルの登録をすると今日はここまでにしようかと思っていたが、時間を見ると未だ午後3時だったので攻略を続ける事にする。
攻略を続けると隠し部屋等を事前に教えてくれるし、罠も教えてくれるので物凄く楽だ。
オリジナルダンジョン(モニターダンジョンの事)で手助け禁止にした理由が良く分かった。
結局、80階のポータルを登録した所で寝る事になった。
ミニチュアハウスを使用してミニチュアハウスが大きくなり、敵や登録した者以外には見えないし結界が張られているので安全だ。
早速中に入る。中は広く、2階もあるのがわかった。リビングにこの家の使い方が載っていたので見てみた。
電気などの代わりに魔石を使用しているので、使用時には入口近くのボックスにゲージがあるのだそうだ。それがいっぱいになるまで魔石を入れる事と書かれていた。
入口のボックスに魔石を何個か入れると満タンになったので、そこで辞めておく。
そして、インスタントの夕食を食べて風呂に入ってベットで寝た。
翌朝早くに目が覚めた。顔を洗って、歯を磨いて朝食を食べた後で、早速攻略の続きをする。
ミニチュアハウスを小さくしてインベントリに仕舞う。その後に昨日のようにアカシャのサポートを受けて攻略を開始した。
暫くして、最終階の100階に到着した。オリジナルダンジョンと違うのはポータルを登録すると扉があり、そこに最後の番人がいる事だった。
扉を開けて、最後の番人と対面する。
最後の番人はドラゴンだった。当たりだ!ドラゴンの肉は美味しくて好きだ。
早速、調理じゃなかった戦闘に入る。ドラゴンがブレスを吐くのをかわして首を千本桜で切り落とす。これが、一番ドロップが落ちる倒し方だった。
ドロップは肉と目と骨と肝臓と革だった。
全て足輪に収納され、奥にある扉を開けると大きな岩があった。
岩はダンジョンコアだろうと触ったら案の定ダンジョンコアだった。
設定を変更してスタンピードが起こらない設定にしておく。そして、この部屋にあるポータルの登録をする。
こうして日本最初のダンジョンは攻略されたのだった。
時間を見ると朝の8時だったので、転移魔法で東京のマンションに戻り、どっぺる君を解除して昨日の出来事を体験する。
どうやら、管理者の話題でいっぱいだったようだが、授業は中止にならずに行われたようだ。
東大は平和で良いなと思った。
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