第4話 大蛙

 レベルアップした俺はそのまま進んでいくと十字路じゅうじろに出会った。


 多分、ここで右に曲がったら安全地帯セーフティーゾーンに戻れるんだろうなと思った。


 ここも左に進んでいくと泉があり、木があった。木は果実の木みたいで手を伸ばせば届く所に2~3個銀色の実がなっていた。


 とりあえず収穫してみて食べてみると、体の疲労が抜け力がわいてきた。ついでに泉の水を飲んでみると、戦闘でついた細かな傷が無くなった。


 水筒の水を泉の水と入れ替えて先に進む。すると、もう目の前に上に通じる階段があった。


 一応、階段を上がってみると大きな広間に中央に安全地帯セーフティーゾーンの出入り口にあった発効する水晶玉が台座と共にあり、その床に魔法陣があった。


 触ってみると”登録されました。安全地帯セーフティーゾーンに戻りますか”と出てきたのでキャンセルした。


 階段を下って元の泉に戻り、分岐路で進行方向の左に進む。暫く進むとゴブリンが居て戦闘になった。


 ゴブリンを見た瞬間から剣鉈を持って襲って行ったので今回も傷つく事無く終了した。


 マッピング作業をして、クリスタルを回収して進むと今度の左手の法則だと進行方向の右に曲がる様になっていた。


 左手を左壁に付けたまま進むと、左に扉があった。扉と壁を調べて罠が無いかを確認する。特にドアノブに注意したが罠はなさそうなので剣鉈を持って空いてる方の手に粉末唐辛子を握った手でドアを開ける。


 そこには3匹のスライムが居た。最初に粉末唐辛子をスライム達に撒くと一番近いスライムのコアを狙って剣鉈を突く。幸い、コアに当たり倒す事が出来た。


 後の2匹を見ると悶えていた。どうやら粉末唐辛子が効いたらしい。機会を逃さずに2匹の核を剣鉈で割った。


 クリスタルを3個回収し部屋の中を探すとまたもや木箱があった。と言うか、木箱しか目ぼしい物が無かった。


 木箱を蹴ってミミックじゃ無い事を確認すると、中をあさった。


 今度はロングソードの剣と鞘、それに革鎧一式が出てきた。剣鉈のかわりにロングソードを差して剣鉈と革鎧一式はリュックバックに仕舞う。山岳用リュックサックがいっぱいになってしまった。


 部屋を出て左手の法則で進むと今度も進行方向の右手に曲がっていた。曲がり道を曲がって進むとゴブリンが居た。此方に気付いて走り寄ってくる。俺はロング・ソードを抜いて待ち構える。


 ゴブリンがナイフを突き出してきた手をロングソードで切る。すると切った腕が切断された。切れ味がとても良いなと思いながら、戦うすべを失ったゴブリンを始末する。


 ゴブリンが消えクリスタルが残るので回収して進むと十字路じゅうじろに出会った。今度も右に進むと大きな扉があったので開けると想像したとおり安全地帯セーフティーゾーンだった。マップにこのことを書いておいた。


――アカシャ、このロングソードと革鎧一式に水筒の水と銀の果実って何か禁忌図書館アカシックレコードで調べてくれないか?


『良いわよ。ロングソードは攻撃力80、切れ味強化(弱)と頑丈(普通)、自己修復(中)が掛かっている剣ね。革鎧一式は防御力90、頑丈(大)自己修復(中)自動調整(中)が掛かっているわ。

 そして水筒の水だけど、回復の泉の水と出てるわね。

 銀の果実は全ステータス回復と治癒にステータス強化の効能があるって!』


――ありがとう、アカシャ。それにしてもこのクリスタルと良い、ロングソードと言い一回ここに戻らないと呪われているかどうか分からないのは困るな!


『あ、そのクリスタルって魔石よ。水99%に塩1%の重さの水に金1gを入れたら電気が得られるの。それ以外の濃度だと反応しないわ。それとは別に砂糖2%と水98%の重さでプラチナ1gを入れると誤差0.1%なら前の溶液よりも3倍の電力が得られるわ。0.1%の誤差でも誤差が大きければ倍率も下がるけどね。

 逆に言うと誤差0.1%以内に抑えなければ電気を発生する事が出来ないって事でもあるのよ。

 後、アイテムを手に入れるたびに戻ってくるのが嫌だったら鑑定のスキルを覚えたら良いんじゃ無い?』


――え! 鑑定のスキルって覚えられるの!


『ええ! 基本的にスキルは後でも覚えられるものよ。鑑定の場合は間違い探しの本でも買って集中して問題を解いていれば覚えられるわよ』


――ありがとう! とりあえず革鎧に着替えるわ。あ、そういや地下の階段降りていくと玄関にある光ってる水晶と魔法陣があったんだけど、何あれ?


『ああ! あれねポータルと言って登録した場所へ瞬時に行けるものよ』


――マジかよ! 凄いな。


そう言って俺はバイクのプロテクターから革鎧の上下に着替えた。


そして入り口の水晶に触ってみると0Fと1Fと出ていた。試しに0Fを選択するとこのままだった。


『0Fってこの階層の事だから!チュートリアル的な階層って事ね。本番は1Fからよ』


 との事だった。ふて腐れて玄関の扉を開けてダンジョンに挑む。


 十字路じゅうじろの所を今度は真っ直ぐに進みマップを完成させる事を目指す。


 真っ直ぐに進んでいると大型犬程の大きな蛙が見えてきた。ロングソードを抜き戦闘に備える。


 3mまで近づいたら大きな蛙が舌を飛ばしてきた!


 間一髪で避ける。避けたので攻撃しようとすると舌はもう戻っていく所だった。


 ちんたらしていたら舌の餌食になると思った俺は走って距離を詰める。


 舌が再び俺に迫る。今度は近い所為か逃げられなかった。


 腕に舌を絡められた所からジュッと肉の焼ける匂いがする。

 

 酸だ! こいつ酸を持ってやがる! 急いで大蛙の近くに行き剣で脳天を突き刺した。


 残念ながら、舌で絡められた腕はアームガードが無い所から骨が見えている。


 そういや、回復の泉の水を水筒に入れていたと思い出し、片手で苦労しながらも開けて飲む。


 すると骨が見えていた箇所が元に戻った。


 大蛙が消えると同時に俺の体が熱くなる。レベルアップか?


 ステータスを見て確認する。


名前:七市伸幸ななしのぶゆき

年齢:17歳

レベル:1→2(new)

総合力:肥満ぎみ初心者→肥満ぎみ初心者+1(new)

スキル:耐酸性Lv3→4(new)、隠匿Lv6、偽造Lv7

ユニークスキル:禁忌図書館アカシックレコード


 レベルアップしていた。大蛙は経験値が大きいのか?


 大蛙がいた場所を見ると魔石と大きな丸い袋が落ちていた。


 とりあえず、回収だけして先を急いだ。


 また十字路に出会いこのまま真っ直ぐ進むと泉と木がある場所に出た。


木にはまた銀色の果実がなっていたので頂戴した。


泉の水を飲み、水筒に入れ、その後に大蛙に巻き取られた革鎧の一部のアームガードを泉に漬けると少し溶けていた部分も回復した。


マップに描き込むとこの階全てのマップが埋まったと同時に視界にマップが表示される様になった。


もしかしてとステータスを見るとマップのスキルがあった。


 とりあず、この階の残りの敵を倒して経験値を溜める事にした。

 驚いた事に、ポーションやロングソードに革鎧が復活していた。

 とりあえず、これらを持って拠点に帰った。


 拠点に戻ると、何で1Fに行かなかったのかとアカシャが怒ってきた。


 俺は0Fで剣技? 剣術? の技能や気配察知・危機察知が生えるのと大蛙も含めて傷を負わずに簡単に倒せる様になるまでは行きたくないと言った。

 

『気持ちは分かるけれども! 気持ちは分かるけれども! 育成には遅くなるのよ!』


 と言うアカシャの叫び声が俺の中に響いた。


 アカシャにドロップした大きな丸い袋を見せて何か聞いた。


『それって異次元蛙の胃袋でしょ。アイテムバックの素材の一部って言うか全部って言うかそう言うものよ』


――どうやったらこれはアイテム袋になるのか?


『錬金術師の技能を高めていって細工師の技能もある程度高いと作れる様になるのよ』


――どうやったら錬金術師と細工師になれる?


『錬金術師はスライムの核を素手で取り出して、それを水と火で溶かそうとしたら失敗してスライムが大量に出るから出たスライムの核を抜いてそれを水と火で溶かそうとして失敗させてを繰り返すと錬金術師の取得と経験値上げに最も効率的よ。

 細工師の方は、縫い物したりとか刺繍をしたりとか彫刻を作るとかしていって地道に上げるしか無いわね。強いて言うならここでやると外でやるよりも1000倍効率的になる事かな?』


――ありがとう!


「管理者さん、至急この家に生産・研究設備一式別の部屋を作って揃えてくれませんか!」


俺は大声でそう叫んだ。


「あ~、それは難易度設定に必要なのかい?」


「必要です! 例えばアイテムバックやインベントリなどが無ければリュックサックがいっぱいになればその時点で探索は終了になります。

 また、鍛冶で自分専用の剣を鍛えなければ剣の性能以上の事は出来ずに頭打ちになります。

 それを回避する為にも生産設備は必要です!」


「なるほどね。何か引っかかるけど一応理屈はあってるから生産・研究設備一式新しい部屋をダンジョンで探索している間にでも安全地帯セーフティーゾーンに増設してあげるよ」


「ありがとうございます! それじゃ、もう1周して来るのでその間にお願いします!」


 そう言って俺はダンジョンにもう一度行くのだった。




―――――――――――――――――――――――――――――


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