第3話 レベルアップ

 意識が戻ったのは安全地帯セーフティーゾーンである家の中だった。


 手の中にはクリスタルとナイフが3個ある。


 アカシャが話しかけてきた。


『お帰りなさい。痛かったよね!私も伸幸の五感で感じてるからよく分かるよ!  ごめんねぇ! 禁忌図書館アカシックレコードで危機を知らせる事が出来たのにしなくて』


「ああ! そうだよ! 禁忌図書館アカシックレコードがあればどういった行動をすれば良いか何があるのか分かるじゃないか!」


『だからごめんね! 管理者に難易度の調整の為にならないって事でダンジョンじゃここ以外で喋るの禁止されてるの!それにその方が伸幸の成長にも繋がるって言う話だから・・・・・・』


「そうなのか。せっかく活路が開けたと思ったのに残念だな。でも仕方がないか~」


『でも、その分ここでならアドバイス出来るから!』


「アドバイス?」


『そう! 例えば今日は緊急救急セットを持って行かなかったよね。あれって包帯だけでもあれば戦闘後に太ももの傷の手当てになったんじゃない? 少なくても止血は出来たよね?』


「ああ。言われてみるとそうだな」


『それに、現代の品物を購入したとしても使わなさすぎるんじゃない?

 例えばゴブリンが3匹居た所で痴漢撃退スプレーをゴブリンの顔にかければ戦闘がもっと楽に行けたかもしれないし。

 ロープやガムテープも持っていたら扉のノブにロープの端をガムテープで留めて横から開けられたりしたんじゃない?

 それにヘルメットだってトンネル工事用のヘルメットで頭にランプが付いている奴ならもっと視界が広がったかもしれないし・・・・・・あ! これは相手に発見される危険性が高いから駄目かも。夜目のスキルの取得の邪魔になるかもしれないし』


「あ、ああ。何というか、ダンジョンでしゃべれなかった分ここで話してるって感じだな」


『え~! そんな事ないよ。心配して言ってるだけだし。そういや心配で思い出したけど伸幸が1番に取らなきゃ駄目なスキルがあった! それは隠匿と偽造よ!

これは、ステータスを覗かれない様にする為の隠匿に、もし覗かれても偽造で対処出来るから今から取得条件言うから取ってね。まぁ、隠匿と偽造には他にも効果はあるんだけど』


「ええ! 今からかよ。ちょっと待って、さっき言ってた事メモにするから・・・・・・」


俺は手帳サイズのメモ帳に先程言われた事をメモして山岳用リュックサックに入れた。


「よし、良いぞ」


『隠匿は今から30日間誰にも会わず相手に喋らずにしていたら取れるよ。偽造は何かの偽物を作る努力をしていればスキルが取得出来るよ。例えば判子の陰影を偽造するのに芋判子で作ってみるとか』


「30日間も誰にも会わず相手に喋らずなんて無理だよ。アカシャ相手にも勘定されるかもしれないだろう。それに何処で30日も暮らすのさ」


『ここだよ。ここなら時間もほとんど経たないし家にあった食料もある。

 水道もシャワーもトイレもあるし、卓上コンロ 一人用もあるから料理も出来るじゃないか! それに私と話す時は勘定はされない様だけど念の為に心で話した方が良いかもね』


「ここで! マジかよ。うわ~、心で話ってどうやるの?」


『心で私に話しかけてみてよ、それでいけるはずだから』


どうやるんだ? こうか?


――こんな風にか?


『そうそう、結構上手いじゃない!」


――それで、30日間誰にも会わずに過ごせたら隠匿Lv1が貰えるんだろうな?


『隠匿Lv1じゃなくて隠匿Lv6だよ』


――Lv1じゃないのか! じゃぁ、Lv1ならもっと簡単なんじゃないのか?


「そりゃそうだけど、禁忌図書館アカシックレコードで調べたら最低でもLv6要るって分かったからさ~』


――なるほど、それなら仕方がないか。


『それじゃ、ノートパソコンも持ってきたしソースプログラムの続きをやろう?』


――・・・・・・わかった。


 それからソースプログラムの続きをした。1日経ってから気がついたが減った食料や飲み物は1日経ったら復活していた。


 少なくとも菓子の心配はなくなったなと思った。



-30日後-


 やり遂げた! しゃべれないってのがこんなに辛い事だとは思わなかった!


 だが、何とか俺は30日間も誰にも会わず相手に喋らずをやり遂げた!


 それだけじゃなくて身体トレーニングもしたしソースプログラムも三分の二は書き込めた。書くのが嫌になったら判子の陰影を消しゴムで偽造する練習をしたりして、隠匿LV6、偽造Lv7まで高めたぜ!


『よくがんばったね! 偽造がLv7まで行くとは思わなかったよ』


――ソースプログラム書くのに結構打ち間違えるからその度に教えてくれてありがとう!


『どういたしまして!』


――でも、お陰で消しゴム判子がはかどったぜ!


『それはそれでどうなのかな? 所で、何で念話で話してるの?』


――慣れておこうと思ってと、隠匿が上がるかなと思って。


『良かった。しゃべり方忘れたのかと思ったよ!』


――失礼な! 忘れてないよ! ・・・・・・たぶん。


『たぶんって不安だなぁ』


――まぁ、それよりも久しぶりにダンジョンから出ようよ!


 そう言って俺はダンジョンから出たいと鍵に向かって願った。


 ダンジョンから出た俺は時間が入ってからほとんど経っていないと思われる事(30日前の記憶なんか曖昧だ!)でバイトまで時間があるのでネットで防犯スプレーとゴーグルを購入した。明日に届く様だ。


 後は薬局に緊急救急箱に包帯を追加したのを購入し、ホームセンターではロープとガムテープを購入した。


 ふと思い立って、近くのスーパーのイ○ンに行き、粉唐辛子を購入した。


 明日までの繋ぎで目潰しになればと思ったのだ。


 買い物から帰ってくるとバイトに行くのに丁度良い時間だったのでナイトに行く。コンビニのバイトだ。


 バイト仲間に会った瞬間”痩せたな、お前と言われた”。体重を量っていないが痩せたとしたら30日間のダンジョン監禁の所為だろう。


 通りでズボンのウエストが緩いと思ったよ。


 ちなみに数年間バイトで日常的にやってた”いらっしゃいませ””ありがとうございました”は30日程度じゃ揺らぐ事もなかった。


 バイトが終わって帰ると午後8時を過ぎてる。

 

 夕食はコンビニで廃棄になったおにぎりや弁当を貰ってきたのでそれを温めて食べる。


その後にダンジョンに行って30日ぶりの探索を行う事にした。



ロープと粉末唐辛子とガムテープと緊急救急箱を登山用のリュックサックに入れて、剣鉈を持って入り口から洞窟に入る。


 左手の法則でまたも会ったスライムを撃破し、クリスタルを取る。


 そして、前回殺されたゴブリンの居る部屋に来た。


 罠はないかドアノブや向かいの壁に穴は空いてないか等調べ、手に剣鉈を持って粉末唐辛子を握った手でドアを開ける。


 ゴブリンを見つけたら直ぐに襲いかかり、1匹を仕留める。


 立ち向かってきたゴブリンの顔面に粉末唐辛子をを投げつける。上手くいったのか相手は目を押さえて此方を見れないうちにもう一方のゴブリンが攻撃してきたので避けて此方も剣鉈で反撃する。


 その反撃で相手のゴブリンが様子見を決めた瞬間、未だ目に粉末唐辛子で涙目のゴブリンを襲って殺す。


 残り1匹になったゴブリンは逃げだそうと背後を向けるが、それに対して予想していた俺は背中から腹を刺して仕留めた。


 今度は完勝した俺はクリスタルだけを取ると部屋の中を調べる事にした。

 部屋の中には探索した結果、部屋の中の木箱ぐらいしか怪しい物はなかった、ミミックだったらいやなので木箱に剣鉈で攻撃すると何にもなかったのでひっくり返して中身を見ると、ポーションの様な物が2個ありそれ以外には特に有用そうな物は無かった。


 部屋を出て左手に向かうと、今度は右側に通路が曲がっていた。


 曲がり角の手前で止まって声がしないか確認し、危険が無い様なので曲がってみた。


 暫く歩くと前方にゴブリンが一匹居た。こちらには未だ気がついていない様なので忍び足で近寄って襲撃をかける。


 最初の襲撃で仕留める事が出来たと同時に体が熱くなる。


 もしかしてとステータスを見るとレベルアップしていた。


名前:七市伸幸ななしのぶゆき

年齢:17歳

レベル:0→1(new)

総合力:肥満貧弱→肥満ぎみ初心者(new)

スキル:耐酸性Lv3(new)、隠匿Lv6(new)、偽造Lv7(new)

ユニークスキル:禁忌図書館アカシックレコード


 ナイフはもう要らないのでクリスタルを取り、このステータスを見えない様にする。


 隠匿を破られた時用にステータスを偽造する。


名前:七市伸幸ななしのぶゆき

年齢:17歳

レベル:0

総合力:肥満ぎみ貧弱

スキル:耐酸性Lv3

ユニークスキル:-



―――――――――――――――――――――――――――――


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