なんとなく絶望。

識織しの木

なんとなく絶望。

この場所に天使も悪魔もいないのはそれらが望まれていなかったから


慰めにならぬ言葉の数々は誰の呼吸も映していない


目を瞑りやがて時計が固まればこの部屋だけが永遠になる


本当の独りにいつかなる未来今がどれだけ懐かしくても


このひともあのひとだって本当はやさしいひとだと思い込みたい


仮面などこしらえなくても見る人の数だけ違う自分が居る


異世界ゲームから現実リアルに戻るときの音ごみ収集と緊急車両


今日もまたどこかが揺れた地続きのこの足で立ったことのない土地


現実の「奇」がどこまでも「奇」であれば日常もまた非日常なり


エアコンのない部屋の窓開け放し近く雷鳴雨が吹き込む


水槽も籠もここにはないけれど地球はもとから巨大なイレモノ


違うらしい世間と個人の求むものでは世間とは? いったい誰だ


好きなものだけで埋もれたこの部屋で飲んでる水道水はおいしい


エッセイを読んでは首を傾ける他人ヒトとの違い個人ということ


春になり夏は重くて秋遅く冬に降られてすぐにふりだし


起きて食べ本を1冊読み終えてあれ? 休日が終わってしまう


ふと思い出すあの夢のじりじりと焦る気持ちと妙なせかいを


山積みになった書類と小物たちピアノの蓋はもう開かぬのか


さまざまな例外たちをとりこぼし虚しいメリー・ゴー・ラウンド


気まぐれに食べたくなった人参は甘くてくさくてやっぱりもういい






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