生み出す

妙に面白い、気になる子に出会った。

好きとか嫌いとか、そういう次元を超えた関係。

お互いがお互いにどういう感情を抱いているのかが見えにくい関係。

でも、お互いに絆が強い。

おそらく今までに出会った関係性の中で、ピカイチと言っても過言ではない。

本当に包み込むような、愛らしいような…。


「人間 対 人間」

ちゃんとその意味を理解出来ている人は少ない。

つまりそれは、相手にも心があり、自分とは全くもって違うということ。

分かり合えるというだけで奇跡みたいなものなのだ。

そばにいる時には気づかない。でも本当に必要な人は常にそばにいる。

そしてその人を大事にする意味を彼女が教えてくれた。

ー小学校2年生の時に、同じクラスになった。

名字の頭文字からして、出席番号が前後になるので、私たちは必然的に話すようになった。

去年は名前を知っていた程度だったが、何となく大人しい子なのだろうと想像していた。

それは、ある意味あってはいた。でも間違ってもいた。

確かに、彼女はあまり騒ぐようなタイプではない。しかし大人しいという表現が当てはまるような子でもなかった。

すごくすごく不思議で、面白いのだ。

他の人が見ても、普通に居そうな子という印象だろうに、私はすぐに気になる存在になった。

離れることは出来なくもないが、すぐに思い出す。

1人にさせるのが心配、でも彼女なら1人でも大丈夫だろう、という矛盾した気持ち。

無理をしているのかな、と思いつつも、すごくマイペースに過ごしている。

誰かに特別に好かれるわけでも、嫌われることも絶対にないが、存在感がないわけではない。そして目立っても、相手の心に馴染んでくる。

ある意味での才能。

高校でダンス部に入ったと聞いた時には、私はますます好きになってしまった。

すぐに彼女が踊っている姿を想像出来て、そして自分のことのように心が喜んだ。

ダンスを絶対に観に行く。嫌がられるかな、と懸念していたが、そもそもそんな考えがいらなかったと思えるくらいスムーズに事が運ぶ。

縁があるんだか、ないんだか。天然なんだか、しっかりしているんだか。

でも芯はある子だと思う。優しいから少々振り回されやすいところはあるが、嫌なことは嫌と伝えられるみたいだし、元々おおらかな子なのだろう。

彼女は大丈夫だ。信頼しよう。

私が不安になりやすいところほど、彼女は何とも思っていなかったりする…。

「今度会おうね」

向こうがどう思っているのか、そんなの考えなくても良い。

気を使わないという意味ではなく、余計なことを考える必要はないということ。

今思うと、記憶には残りにくいが間違いなく彼女は近くにいた。

もっと大事にしていれば…、なんて気持ちはあるのかないのか…。

「だって優しいもん」

そう私が言った時の反応が、ほんの少し暗かったのは何故?

まさか…。なんて考えは消えずに残っている。

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