デジャブの真相
私には幼なじみがいる。
でも、幼なじみと呼べるほど彼を知っているかと訊かれても、答えにくい。
だって私には見えていない彼が、絶対にいるのだからー。
『スマホ買ってもらいました。何かあれば連絡して下さい』
高校に入学して数週間後、突如ポストに彼からの手紙が入っていた。
手紙のやり取りなら中学時代に数えきれないほどしている。
それでもタイミングが意外すぎて驚いた。
てっきり、私のことなんて忘れられていると思っていた。
だって、彼の通っている高校は県内トップ3に入る天才が通うべき高校で、私のようなバカは相手にする意味さえ感じないだろうと解釈していた。
やっぱり私が、幼なじみという枠組みに入っているからだろうか。それともー。
ー4ヶ月後。
「あいつ、入学してすぐの自己紹介でスベって、しばらく友達がいなかったらしいぞ」
私が受けようと思っている英検の手伝いをしてくれた佐々木に、高校の最寄り駅近くで会っていた。
「え、そうだったの」
なるほど…。いきなり手紙をよこしたのは、学校でボッチだったからなんだ。
偶然、私もその日に高校で嫌な思いをしていた。家に帰って幼なじみからの手紙を読んだ時は少し救われた。
「今はどうなの?」
「多分、大丈夫なんじゃね」
本当かよ。あまり信じちゃダメだ。
「あ、今週の日曜日、ダイスケと映画行くんだ」
彼の話題が出たついでに、一応伝えておいた。
「おーマジか」
変に関係性を疑ったり、冷やかしたりしないところが佐々木の良いところだ。
ダイスケは私の大事な友達の好きな人だから、絶対に迷惑はかけられない。
そして私たちは幼なじみという関係性であることを強調しないといけない。
佐々木はそれの協力者になってくれそうだ。
ー本当はもっと複雑な私の思いがあるけれど、それは佐々木にも、ダイスケにも言うべきことではない。
1年半前の記憶が、脳裏によぎる。
まひろちゃんには、伝えておこうと思ってね。
今後のダイスケとの関係性や繋がりのヒントになったら嬉しいな〜。
私が中3の時、好きだった人のことは伝えたよね?
その人とバレンタインデーの日に会ったことも、同じクラスになって一緒に帰ったことも、みんなに内緒で絆創膏やメモ帳にメッセージを書いて渡していたことも…。
なんか、ダイスケとまひろちゃんとの関係性に近しいね。
一緒ではないけど、なんかくっつきそうで離れちゃうみたいなところは、よく似てるなって思ってた。
だから、お互いが相手にどういう想いを向けているのか、感じ取っちゃったのかも。
私だって100%こうだ!なんて言えないし、言うつもりもないよ。
でも、これだけは言わせて。本当に言いたいことだから。
『2人の関係性に間違いはないし、誰がなんと言おうと完璧だし、好きだって想いがある限り好きでいて!』
以上。
以上とか言うと冷たいから、もうちょっと書く。
何ならダイスケとお出かけした日のことでも話すね。
フードコートでご飯食べてた時、まひろちゃんの名前を出した瞬間、反応かおかしくなっちゃって、なんかロボットみたいだった。
私、普通にうどん頼んだだけなのに、なんかいちいち過剰に反応してるし、私が1番気まずかった。
「そんなに気にしてるなら、さっさと言いたいこと伝えてラクになりなよ」ってぶちまけようかとずっと考えてたくらい。
そういうのもあって、合流しない?って提案したんだ。
でも、今度も映画に行くし、今回は引き合わせ作戦なしでもいいやって思えた。
それなのにーあの人、映画グループから降りた。
まひろちゃんは優しいからダイスケを許したんだろうけど、私はカンカンだったよ。
はぁ?って思ったし、また逃げるのかよとも思った。
佐々木にめっちゃ愚痴って、たくさん振り回して、それでも相手してくれた。
まひろちゃんは佐々木に感謝してね! 私の暴走を何度も止めてくれたし、すごいまひろちゃんたちのこと考えてくれるの。
ーその佐々木の高校に、私の好きだったアイツも通ってることは、ここでは関係ないから省く。
なんて言うのかな。なんか目に見えない何かに導かれるじゃないけど、すごい偶然が今重なって起きてるの感じてくれたなかな…?
多分、私誰よりも2人の関係応援してるし、頭痛くなるほど考えてるよ。
どっかでこのシチュエーション体験したな、って思う出来事もたくさん見たのよ。
もう何も心配しなくていいよ!
答えがないものは存在するけど、終わりがないものなんてないから!
ーいつか絶対に、ゴールが来る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます