Final Phase
あのいじめ問題から半年が経過した。結局、私は北海道警察を辞職してスクールカウンセラーになった。厳密に言えば、スクールカウンセラーになるための勉強をしているところである。だから、
ある日、私は思い立って鈴花ちゃんが
それから、私は札幌市内の中学校でスクールカウンセラーになった。北海道警察の少年課の職員だったことが評価されて、再就職先は直ぐに決まった。スクールカウンセラーとして毎日寄せられる相談に乗っていく私は、聖人君子だと思われるかもしれない。けれども、私がやっていることはいじめで苦しむ生徒を救うことであり、心を癒やすことでもある。そして、私の相談が子供の将来に繋がるのなら、それでいい。それにしても、学校の校舎というのは寒い。「小越瑛美子」という名前は「仮令凍える夜でも、笑みを浮かべよう」という駄洒落から来ていると親から聞いた。それが本当かどうかは分からないのだけれど、スクールカウンセラーになって私の凍っていた心が解けていったのは事実かもしれない。警察で働いていた頃の自分は「冷徹」を貫き通していたけれども、結局それは間違いだった。子供の温かい心が、私にとっての本来あるべき姿なのだ。
――そして、今日も私は元気に子供たちの相談に乗っている。(了)
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