蛇の脚編 7話

少年は緩やかに歳を取りました。

やがて少年の老化は更に緩やかになり、そして青年になった頃とうとう彼の時は止まりました。


青年は研究が好きでした。

魔王の命は王様に預けたのでもうかつてほどの奇跡は起こせませんが、贈り物のお陰で彼の中には膨大な魔力とたくさんの知恵がありました。

青年はその研究成果で沢山の大発明をしました。

彼は又、時々町に行き人々と交流しました。

王宮でお抱え魔術師になったりもしました。


ずっととどまると彼にたくさんの感情が流れ込んでしまうため、ずっと同じ場所にはいられません。

しかし、彼が辛くなってくると何故かカエルが巨大化したり愛し子のヤモリが野生種を引き連れ城に侵入したり不思議なことが起こり、彼が壊れてしまうことはありませんでした。


青年は貰った土地や財宝を売り払い、研究の報酬を加えて田舎に広大な土地と小さなお城を買いました。

そして、青年はお城や森を彼と愛し子達の楽園に作り替えていきました。

師匠は暫くして亡くなりました。青年はこっそりと葬式に参列しましたが誰も彼が師の弟子だとは気付きませんでした。


やがて暇になった青年は森の隣に家を建て、困っている人を集めて小さな街を作りました。

そして、城に篭もり愛し子達と街の発展をそっと見守ったのです。

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