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 トレイルカメラと盗聴器を仕掛けて、一週間が経った今日、僕は遠野さんと、スイーツビュッフェで舌鼓を打っている。

「このプリンめちゃくちゃ旨いですよ。舌触りがなめらかで、これ、百個は食えるなあ……ところで作戦って何なんですか」

 なかなかの執念である。作戦については触れないように、話をそらし続けよう。ごめん、遠野さん。

「遠野さん食レポお上手ですね。僕も食べよっと。いやー、ここ、さすがホテルですね。ブラックコーヒーがめちゃくちゃ美味しくて、スイーツと一緒にいくらでもいけちゃいます」

「俺ブラックコーヒーは食後派で、スイーツを食べてる間はもっぱらホットミルクなんですよね。せっかくの甘味が減っちゃうのがもったいなくて。でもあとでクッキーと一緒に飲んでみます。で、作戦というと……」

「へー、クッキーなんてあるんですか?」

「ありましたよ。そこの台に」

「ちょっと取ってきます。あ、遠野さんの分も持ってきますね。コーヒーも」

「ありがとうございます」

 大原さんからもらった株主優待券で、二人分のスイーツビュッフェが無料になる。僕も将来、使い切れないくらいの株主優待をもらうくらいのお金持ちになりたいものだ。

「これは確かに良い香りのコーヒーだ」

「でしょう。クッキーも香ばしくてめちゃくちゃおいしいです。家に常備して毎日でも食べたいくらいですよ」

 元々そんなに甘いものは得意じゃなかったけれど、大阪に来てからというもの、疲れた体に甘い食べ物が沁みる感覚にトリコになってしまった。

「俺は冷蔵庫に常にあんころもちを常備して、どうしても食べたくなったときに食べてますよ。あ、冷蔵庫といえば、例の家には倉庫があって、冷蔵庫のように常に低温が保たれているみたいなんです。十中八九、犯行はそこで行われているかと」

 遠野さんの口から、慎さんの情報。

「――一般市民にそんなこと教えても良いんですか?」

「自ら巻き込まれに来ているあなた方にはむしろ、僕がついて守りきらなくてはならないと、ようやく気が付いたんですよ」

 遠野さんは、若いカップルに擬態して僕らのテーブルの斜め後ろに座る秋月さんと十文字に目をやった。

「さすが、お見通しですね」

「あ、いえ、失礼ですが、あなたには気付きませんでした。見覚えのある女性がいらっしゃるな、と思い……」

 その特徴のない顔は、一度変装をすればほとんど毎日顔を合わせていようと十文字だとわからなくなってしまう。さながらカメレオンだ。

「僕としてもまだ証拠という証拠も掴めていない。今の時点では警察官としてではなく、あくまでも個人的に偵察をしているに過ぎない」

 遠野さんは僕たち一人ひとりを見て続けた。

「腕の立つ占い師がいると聞いたので、犯行の詳細を占ってもらおうかと」

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