ソールオキデンス 日本

第六話 脱出

黒崎の声は消え去り、沈黙が広がった。葬儀にも参列したはずなのに、父親が生きている事実に驚愕が黒崎を襲った。しかし、疑問が頭をよぎった。なぜ父親はこのシベリアの場所にいるのだろうか。

父親が黒崎に声をかけた。

「母は元気か？学校ではどうだった？」

黒崎は静かに答えた。

「どこにいたんだ？今まで、何があったんだ？母は……亡くなった……」

父親は悲しみに包まれた声で答えた。

「母……彼女は……本当に亡くなったのか……」

悲しみに満ちた言葉を込めて、黒崎は答えた。

「彼女は殺されたんだ… 殺した奴は死んだけどな」

父親は決意を込めて言った。

「話は後にしよう！ここから逃げ出そう」

二人は独房から脱出しようとするが、最後の扉の前に、斜線の傷跡のある男性が立ちはだかった。

「どこへ行くつもりだ？」

二人は一斉に答えた。

「ここから逃げるつもりだ」

斜線の傷跡を持つ男は、腰から素早く拳銃を抜き、二人に向けて構えた。

「独房に引き返し、我々の祖国ロシアに貢献せよ！」と声を荒げた。

収容所内には警報が鳴り響き、騒然とした状況が広がっていた。警報の音と共に、奥から悲鳴がこだました。否定の声が次第に高まり、その瞬間、斜線の傷跡のある男性は焦りを募らせた。

突如として停電が発生し、暗闇の中から肌が緑色の生命体が足音を立てながら接近してきた。口からは涎が垂れ、顔には明らかな怒りが滲んでいた。斜線の傷跡のある男性を追いかけるようにして駆け寄っていった。

男性は拳銃を手に、数発の銃弾を緑色の生命体に向けて放った。しかし、それにも動じず、生命体は男性に向かって全速力で進んでいた。目の前まで迫った時、口を大きく開けて斜線の傷跡のある男性の頭部を引き裂き、恐ろしい咀嚼音を響かせながら内臓を貪り食っていた。

恐怖に満ちた情景が目の前に広がり、周囲には異様な静寂が漂った。

二人はこの場を脱出しようとした時、父親は突然立ち止まった。

「悪いが、ここから離れるわけには行かない。この場にいる生命体たちを駆除しなければならない。シベリア収容所内には爆弾が設置されている。本来は証拠隠滅のためだが、それを使わせてもらおう」

父親は淡々と続けた。

「ここでお別れだ、死の間際にあえて良かったよ。さようなら」

黒崎は言葉を失った。ただ、父親の背中は雄々しく立っていた。

その瞬間、黒崎は心を打たれた。父親の決断とその背中からは、大きな感動が伝わってきた。

父親の勇気に触れ、黒崎の心は震えた。彼は父親の背中を見つめながら、感謝の念を抱いた。

この難局に立ち向かう父親の姿に敬意を示し、黒崎は深く感銘を受けた。

その後、シベリア収容所は激しい大爆発に襲われた。

耳をつんざくような轟音が響き渡り、周囲は一瞬にして炎に包まれた。爆発の衝撃は収容所内外に広がり、建物は破壊の狂気に呑み込まれ、炎と煙が闇夜を彩った。