第二話 触手
黒崎はイザベラと一緒にヘリコプターに乗ることに決めた。飛行中、イザベラはアーサーについて質問した。
「アーサーと会ったことがあるんでしょう?どんな印象を受けましたか?」
黒崎は答えようと思い出したが、仇を殺されたショックで頭が混乱していた。素直に感想を伝えると、イザベラの表情が重くなり、彼女は落ち込んでしまった。
イザベラは話し始めた。
「言わなかったけど、話すわ。なぜ病院で襲撃が起きたか?」
黒崎は答えた。
「なんであの機動隊が検査をしていたのか、テロリストって言ってたけど、それは完全にデマだったのか?」と黒崎が尋ねた。
イザベラはヘリコプターからの星空を眺めつつ答えた。
「あの機動隊はロシアのKGBなのよ。ワイルドハントがいなくなってから、誰も怪物を狩る存在がいなくなったため、彼らは事件を引き起こしていたの。ロシアなどはそれに気付き、彼らを軍事利用できるかもしれないと考えて、捕まえようとしていたんだ」
黒崎は続けて質問した。
「ロシアは日本での活動は難しいし、軍事活動なんてなおさらだと思いますが」
イザベラはにやりと笑みを浮かべながら答えた。
「まだ子供ね。この国にはかなりの数のスパイが潜んでいて、白い手が街などを破壊している最中の騒動に紛れて日本に入ってきたと思われる。日本はロシアの活動範囲ではないし、軍事活動なんて考えられないと思うでしょうけど」
彼女は一呼吸置いてから続けた。
「検査に関しては、地球外生命体が紛れてないかを調べるためだと考えられる。」
黒崎は言葉にのせて返答した。
「それはつまり、地球外の存在なのですか??検査で反応があったということは。」
イザベラは微笑みながら答えた。
「時折、人間の中には地球外知的生命体の血を引く者が存在するの。おそらく君もその一人かもしれないけれど、確かめる方法はないわ。」
白い巨大な手が突如として地中から蘇り、獰猛な勢いでヘリコプターに襲い掛かった。黒い仮面に身を包んだ兵士たちは、小銃を手にして無言のまま立ち向かう覚悟を決めた。
白い巨大な手は触手を生やし、鮮やかな動きで兵士たちを捉え、その逞しい掌で容赦なく潰し砕いていく様子は、イザベラと黒崎の心を呆然とさせた。
触手の存在は彼らの内なる恐怖の根源に触れるかのように感じられ、その異様な光景は彼らの魂に深く刻まれるのを感じた。
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