KGB編

第一話 襲撃

手にした紙に書かれた文章はここで幕を閉じていた。しかし、黒崎の心には疑問が渦巻く。アーサは叔父に殺されたはずなのに、なぜ彼は生きているのだろう?それは、ドラゴンが囁いた「ジェネシス」という機械を使った結果なのか?


アーサ自身も家族を喪い、その報復に身を投じたと聞いていたが、実際のところ、彼は巻き込まれた存在に過ぎなかったのかもしれない。


不意に夜が押し寄せ、月がその光を注いでいた。車のエンジンがかかると、ラジオが静かに響いた。そこから流れるのは、驚きのニュースだった。


「黒崎──彼は指名手配中となり、賞金首となっています。」


その言葉が耳に届くと、心はざわめきに包まれた。だが、その報道には心当たりがあった。病院内での機動隊による襲撃──それはドラゴンによって助けられたが、犯行自体は黒崎のせいにされ、自分が指名手配されているのかもしれない。


その時、空から爆音が轟き、周囲を見渡すと上空にはヘリコプターが数台、こちらに向かって飛来しているのが見えた。


急いで逃げようと車を動かそうとすると、ヘリコプタから黒いマスクをしている物に小銃で発砲された。

発砲により、車が動かなくなり焦り始めた。

ヘリコプターは上空に留まり、ロープがフロントガラスに落ちてきた。


急いで車のドアを開こうとしたときも、小銃を発砲され動けずにいた。


黒崎は、何か使えるものがないかと探しているとハサミが助手席の下に落ちていた。


ハサミを隠しもち、車の中で待ち構えているとロープから一斉に黒いマスクをした、軍人らしき人物が複数人降りてきて車の周りを囲んだ。 堅いの良い人物が窓を二回叩き、話しかけてきた。


「車の扉を開けて、降りてこい。」


急いで逃げようと車を動かそうとすると、ヘリコプターから黒いマスクを被った人物が小銃を発砲した。一撃が車に命中し、動けなくなった黒崎は焦りに包まれた。ヘリコプターは上空に留まり、フロントガラスにロープが降りてきた。


車のドアを急いで開けようとした瞬間、再び小銃が発砲され、身動きできなくなった。しかし、必死に探し回った黒崎は助手席の下にハサミを見つけた。


ハサミを手に取り、身を隠しながら車内で待機していると、ロープから黒いマスクを被った複数の軍人らしき人物が降り立ち、車を囲んだ。一人の堅い口調の人物が窓を二度たたき、話しかけてきた。


「車の扉を開けて、降りろ。」


命を絶つわけにはいかないと心に決め、背中に挟んだハサミを隠しながらドアを開けた。同時に、近くにいる軍人らしき一人を掴み、ハサミを首に突きつけて脅した。


「お前たちの真の目的は何だ?病院内での襲撃も、もしこの男の命を大切に思うのなら、ここから解放するんだ……。」


堅い口調の人物はただちに拒絶の意思を示し、腰から拳銃を取り出して黒崎に向けた。


儚げな風貌と同時に、どこか強さを感じさせる女性が、ヘリコプターのロープからひとり降りてきた。彼女は軍人らしい人物の拳銃を手で押さえ、下がるように促した。そして、口を開いて話しかけてきた。


「私のことはもう知っているわよね、イザベラと言います」


彼女の声は低く、鋭さを帯びていた。その瞳には決意が宿り、何かを訴えかけているようだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る