第十六話 アーサの過去  Part 9 rust

アーサは目を覚ますと、モーテルではなく地下室の暗闇に身を置いていた。鉄のチェーンが彼の両手を上のパイプにしっかりと縛り付けていた。


無言のまま、彼は周囲を見回した。


目が覚めてから3分後、アーサの前に精鋭部隊の隊長が姿を現し、拷問が始まった。最初はライターで足先を焦がしたり、ナイフで体を切り裂かれた。


アーサは激しい痛みに耐えかねて、叫び声をあげた。


「うああああああああ!」


泣き叫んでいると、叔父さんが現れ、隊長の手を制止し、ジェスチャーで後ろに下がるよう指示した。そして、叔父さんは口を開いた。


「大丈夫か、アーサ?」


「大丈夫なわけないだろう!冗談じゃない!叔父さんが家族を皆殺しにしたんだ!」


「冗談じゃないんだ。まあ、皆殺しは最高に楽しかったよ。真実を知りたいだろう、教えてやるさ」


「なぜ家族を殺したんだ!」


「ワイルドハントを破滅させようとしたのはお前の母親であり、俺の妹でもあるサラだったんだ」


「破滅させるって...」


「そうさ、ワイルドハントは地球外生命体をずっと殺し続けていた。意見が割れて二つの勢力に分かれたんだ。一つは地球外生命体を見つけたら、どんな罪でも関係なく殺す勢力。そしてもう一つは人類に害をもたらす地球外生命体だけを殺そうとする勢力さ」


叔父さんは話を続けた


「ワイルドハント内で意見が対立し、二つの勢力がぶつかり合ったんだ。関係のない人々が犠牲になっていく中、サラは考えたんだ。ワイルドハントそのものを根絶やしにしようと。そして、サラはワイルドハントのメンバーを一人残らず殺しにかかった。俺とアーデン、そして竜のタトゥーをしたドラゴンとリチャードだけが生き残ったんだ。それから俺たちは雲隠れし、連絡を絶った。そして、8年後にお前たちがテレビに映るのを見て、お前たちを探し出し、皆殺しにしたんだ」


「俺とリチャードがお前たちの家族を殺し、証拠を隠滅したんだ。リチャードがその役目を果たしてくれた。そして、3週間後に電話がかかってきて驚いた。あの時のお前の顔、お前の驚きっぷりは見事だったよ」


アーサは怒りに満ちた目で叔父さんを睨みつけ、飛びかかって殴りつけた。しかし、叔父さんは強く応戦し、アーサを蹴り飛ばした。既にボロボロの状態になっていたアーサは壁に倒れ込んだ。


「アーサー、これで終わりだ。お前の人生は惨めなものだな...」


叔父さんは言いながら、鉄パイプでアーサの頭を何度も殴り、部下が使っていた拷問のナイフを手に取り、アーサの心臓に突き刺した。その瞬間、扉が突然開かれた。


イザベラはドアを開けると、アーサは血まみれで頭から垂れ流し、叔父さんがアーサの心臓近くにナイフを突き刺している光景が目に飛び込んだ。彼女の目から涙がこぼれ、何も言わずに拳銃を手にし、アームストロングめがけて引き金を引いた。アームストロングは倒れ込み、イザベラは慌ててナイフを抜き取り、アーサの肩を掴んで建物の外に連れ出し、車の助手席に乗せて出発した。


涙を流しながら、イザベラはつぶやいた。「アーサ、死なないで。本当にお願い...」彼女はアーサの頬を触れたが、彼の肌は冷たく、アーサが救われないことを悟った。しかし、彼女は否定し続けた。「まだアーサは生きているはずよ、生きているの!」


アーサを山の頂上まで運びながら、夕日が美しく輝く場所に到着した。イザベラはアーサを支えながら座り、涙を流しながら言った。「夕日が素晴らしいね」。二人は肩を寄せ合い、イザベラは泣きながら昔の思い出を語り始めた。


「子どもの頃、一人で公園にいたとき、ある少年が声をかけてきて『一緒に友達になろう』って言ってくれたの。私は何かわからないけど、その瞬間から楽しくなったの。一人よりもずっとね。でも、また一人に戻ってしまったの」


イザベラは言葉を終えると、アーサの頬にキスをし、その場を後にした。その後、精鋭部隊はニールの死体を発見し、彼の生死を確認しようとしたが、突然、ニールは起き上がり、顔に満面の笑みを浮かべながら、周囲の部隊を次々と殺害した。

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