第十五話 アーサーの過去Part8
老人は椅子に腰を下ろしている姿で、髑髏の仮面を被った3人組に対して容赦のない命令を下した。
「アーサー・ウィリアムズとイザベラ・ハードを殺してこい!」と怒声を浴びせた。
三人組の一人が憤りを込めて言った。「俺たちに仕事を頼んだと言うことはわかるだろうな……。」
もう一人の仮面の男が冷たく言い放った。「金は出せよ?」
老人は頷きながら答えた。「金は出すが、ミスを犯せば命はないぞ。」
アーサーたちはインパラに乗っている最中、ガス欠に見舞われてしまった。必死に車をガソリンスタンドまで押し、手でガソリンを運びながら前進した。
「アーサー、メーターはちゃんと見てたのか?」と心配そうにイザベラが尋ねた。
「もちろんだ、しっかり見てたよ」とアーサーは自信をもって応えた。
「なら、どうしてこんなことになってるの?」とイザベラは不満げに言った。
2人の関係は険悪さを増していった。
1時間後、ようやくガソリンスタンドに到着し、インパラに軽油を補給している最中、イザベラはお菓子を買いに併設の店に入った。
軽油の補給が終わり、15分待ってもイザベラは戻ってこない。心配になったアーサーは店に入ると、そこには髑髏の仮面を被った三人組が立っており、イザベラを人質にしていた。
「おい、アーサー。取引しようぜ」と一人が嘲笑いながら言った。
アーサーは激しく叫んだ。「イザベラを返してくれ!!!」
「取引するかしないか、どうだ?」と仮面の男が冷酷に問い詰めた。
「わかった、取引する。では、その内容は何だ?」とアーサーは諦め気味に尋ねた。
「お前たちがやるべき仕事をこなせば、イザベラを返す。ただし、一度でも手を出したら結果は容赦しないぞ」と三人組の中の背の高い男が封筒を投げつけてきた。
アーサーは封筒を受け取り、その中に書かれた仕事の内容を読み上げた。彼らは命懸けでその仕事に取り組むことを覚悟したのだった。
髑髏の仮面をかぶった三人組は、イザベラを捕まえてガソリンスタジオの外に停まっている黒いバンに乗り込み、姿を消した。
アーサーは手紙を開き、中身を確認した。手紙には「アーデン・ミラーを殺せ。場所はアメリカ・ニューヨークの432パークアベニューの最上階に住んでいる」と書かれていた。
アーサーは動揺を隠せずにいた。「アーデン・ミラーを殺すしかないのか...でも人を殺すなんてできない。どうしたらいいんだ?」と思い悩んだが、イザベラの安否が心配でならない。そう思い立ち、アーサーはすぐにインパラに乗り、432パークアベニューへ向かった。
アーサーは到着し、建物に入りエレベーターで最上階へと向かった。扉が開くと、そこには生命維持装置をつけた老人がいた。アーサーはハンドガンを彼に向け、問いかけた。
「アーデン・ミラーですか?」
老人は草臥れた声で答えた。「そうだ。お前は誰だ?ハンドガンを向けてくるなんて...」
アーサーは固く言った。「アーサーだ。すまないが、イザベラを助けるためにハンドガンを向けているんだ。」
それを聞いたアーデンは急に身を震わせ、声を荒げて言った。「ふざけるな!あの三人組め、アーサーとイザベラを殺せと命令したはずだ。何故だ?」
アーサーは困惑しながら尋ねた。「もしかして命令を出したのはお前なのか?アーデン?」
アーデンは苦悩の表情で言った。「ああ、そうさ。命令したのはアーサーとイザベラを殺せなかったからさ。何故だった?」
アーサーは告げた。「髑髏の仮面をした連中に封筒を渡されたんだ。その中に書かれている内容を実行すればイザベラを無事に返してくれると言われたんだ。」
アーデンは怒りを露にし、生命維持装置を外しながらアーサーのハンドガンの前に立ち、何かを言おうとしたが、突然倒れた。
アーサーは動揺しながらも立ち去ろうと扉を開けると、上に向かってエレベーターが昇っているのに気づき焦った。近くにあったカーテンの後ろに身を隠すと、エレベーターが開き、叔父さんが出てきた。アーサーは呆然として、状況を理解できないまま立ち尽くしていた。
「なぜ...叔父さんが...」
「ここに...」
アーサが叔父さんのところに近づいて肩を叩いた瞬間、叔父さんはアーサのお腹を蹴り飛ばし、その後何度も足で蹴り上げてきた。
「なんで...こんな...ことを...叔父さん...」
叔父さんは冷たく言った。「アーサー、実はお前にはまだ言っていないことがあるんだ。お前の家族を殺したのは俺なんだ!地球外生命体のふりをしてお前を仲間に引き入れようと思ったが、やめた。それにしても、お前の家族の死に顔は最高だったよ」
怒りと悲しみがアーサの心を押し潰すように押し寄せ、彼は怒りを込めて叫んだ。
「信じられない!全部嘘だったのか...こんなんじゃないはずの叔父さん...育ててくれた義理の父親で、尊敬してたのに...なぜ...」
叔父さんは冷淡に答えた。「アーサー、お前が思っているようないい人じゃないんだよ」
アーサは怒りのピークに達し、叔父さんに殴りかかろうとしたが、時すでに遅く、何度も蹴られてパンチをくらった。
「このままじゃ危険だ...」
アーサは思い立ち、エレベーターに駆け込んですぐにボタンを押した。
エレベーターの隙間から叔父さんの笑顔が見えた。
そんな時、携帯電話が鳴り、アーサはイザベラからの着信だと気付いた。
「アーサー?私は逃げて一時的にガソリンスタンドにいるの。すぐに迎えにきて」
「わかった。すぐ向かう」
アーサはインパラに乗り込み、ガソリンスタンドに向かった。
そこにはボロボロになったイザベラがいて、アーサは大声で問いかけた。
「大丈夫か?イザベラ」
「なんとか...大丈夫だよ。アーサ、お前もボロボロだね。何があったの?封筒の仕事が関係してるのか?」
「お互い大丈夫じゃないんだ...これは仕事じゃない...信頼してた人に殴られたんだ...」
「あの髑髏の三人組が来るかもしれない...早く車に乗って、イザベラ」
そう言い、イザベラは助手席に乗り込み、危険を感じてインパラでモーテルを探して泊まった。
アーサはベッドに座り、経緯を詳しくイザベラに話し終えると、イザベラは黙ってこちらを見つめ、「よく頑張ったね」と言って抱きしめた。
「イザベラ...」
「ありがとう。私のためにこんなことしてくれて」
アーサは疲れ果てていたため、そのまま寝込んでしまった。
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