第九話 アーサの過去Part2
アーサーは痛みに目を覚ますと、身体中が響く痛みに苦しんでいた。彼は眠りから覚めて周囲を見回すと、モーテルのベッドの脇にメモが置かれていた。
「アーサー、すまなかった。オーグルから君を守れなくて本当に申し訳ない……彼を追いかけたが逃げられてしまった。今探しに行く。アームストロング叔父より」
アーサーはメモを読んで自分が無力であったことに対する悔やみと申し訳なさが心を満たした。「叔父さん、本当にすまない……こんな形で」と彼はつぶやき、キッチンへと向かった。そこで水道から水を飲み、痛みに耐えながらもベッドに向かい、そのまま倒れ込むようにして眠りについた。
叔父さんが去ってから三日が経ち、その間彼からの連絡はなく、帰りの気配もない。アーサは不安に心を乱された。叔父さんに何か不幸が襲ったのではないか、という思いが彼を押し固めていた。
「ここでただ心配していても無駄だ。痛みも消え、叔父さんを探し出すべきだ」とアーサは決断し、自らの車に乗り込んで、オーグルとの遭遇場所を目指した。
目的地に到着した彼は、かつて散弾銃をオーグルとの闘いのさなかにどこかに落としてしまったことを思い出した。代わりに車内に置かれていたハンドガンを手に取った。
「もしかしたらオーグルはまだそこにいるかもしれない。叔父さんの所在もわかるかもしれない」とアーサは心の中で考えながら、覚悟を決めて古びた一軒家に足を踏み入れた。
「血の臭いは相変わらずだな」と彼は小さく呟いた。
オーグルに突き飛ばされた場所に辿り着くと、そこには手帳が落ちていた。手帳を開くと、意味の掴めない言語や謎めいたマークが埋め尽くされている。そして手帳の中には、叔父さんの首に刻まれたタトゥーと同じマークが存在し、アーサは驚愕を覚えた。叔父さんに対する不信感が彼を襲い、心の奥底に渦巻くような感情が生じた。
「……」
アーサは黙り込んで、叔父さんが家族の死に何らかの関与があるのではないかという考えが彼を苛み始めた。「いや、そんなことはありえないだろう……叔父さんが……」と彼は思いながらも、現在は叔父さんの行方を追うことが最優先だと決意した。この疑惑は叔父さんと再会した際に話し合おうと決めた。
アーサは手帳を手に取り、探索を進めたが、何も見つからなかった。そこで彼は外の探索に転じようと思ったその時、キッチンの壁に違和感を覚えた。彼は壁を叩いてみると、壁が不意に動き出し、地下へ続く階段が姿を現した。
心を決めたアーサは、地下へと降りていく階段を下りた先に、赤い扉のある部屋が広がっていた。彼は緊張しながら扉を開けると、そこには人間の身体が頭、身体、手の部位ごとに分けられ、テーブルの上に並べられていた。
「これは一体……オーグルの仕業なのか?」アーサは唖然とした。
その時、階段から降りてくる音が響いてきた。アーサは一瞬でハンドガンを扉に向け、警戒しながら待ち構えた。
扉が開くと同時に、アーサは緊張のあまり足を踏み外し、転倒してしまった。
目の前には、あの時のオーグルが立っていた。彼は顔色を一変させ、アーサの足を掴んでキッチンの方に引きずり込んだ。アーサは必死に抵抗し、手に握っていたハンドガンをオーグルの足に向けて撃ち、オーグルが一瞬ひるんだところでバンドンガンを5発、彼の頭に放った。
「はぁ、はぁ……これで倒したか?」アーサは息を切らしながら、安堵の気持ちを抱いた。
オーグルに関しては一件落着し、アーサは胸をなで下ろした。
アーサーは古びた一軒家を出て車に戻った。心はざわつき、叔父さんの行方とオーグルの謎めいた行動が頭を駆け巡った。「叔父さんは一体どこにいったんだ!オーグルを倒したとはいえ、まだ解明すべきことが山積みだ」と彼は呟きながら、手帳のことも頭に残しながら整理するためにモーテルに戻ることを決めた。
モーテルに到着し、アーサーは自分の宿泊部屋に入って行くと、そこには叔父さんが疲弊した姿で倒れていた。「叔父さん! 一体何があったんだ……。君の容態を見る限り、病院に連れて行くしかない。急いで車に乗せよう」とアーサーは悲しみに涙目となりながら、叔父さんを車に運び込み、近くの病院へと向かった。
病院の受付でアーサーは事情を説明した。「すみません、叔父さんがモーテルで倒れているんです……」と彼は言った。受付のおばあさんは理解を示し、すぐに近くにいる医師を呼んで緊急手術の準備が始まった。
アーサーは手術室の前で手を合わせ、祈りを捧げながら手術の成功を願った。2時間後、医師が彼の前に立ちはだかった。「残念ながら……」と医師は告げると、アーサーの涙がこみ上げてきた。「叔父さん……もう自分には何もない……家族として唯一頼れる存在だったのに!」と彼は悲嘆にくれた。
その時、病院の正面玄関から警察官二人が近づいてきて、アーサーに声をかけた。「アーサー・ウィリアムさんですか? ニール・アームストロング殺人容疑で逮捕します」と告げると、彼の手首に手錠がかけられ、連行されることになった。
アーサーの人生はまさに嵐の中に取り残されたかのようであり、彼の心は絶望に包まれていった。運命の歯車が回り始め、アーサーの人生は暗雲に覆われていく中で、彼は警察官たちに連行された。車の中で彼は黙り込み、深い哀しみと絶望が心を支配していた。
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