四話 カッパ

小学校に到着すると周りからは児童の声は聞こえず、街は物静かとなっていた。だが、実際には物静かという言葉では片付けられないくらいに静かっだった。


黒崎は車から出ると学校の左側にある小屋から人影が見えた。

腰から拳銃を取り出し構えた。人影は右往左往していた。


少年は小柄で華奢な体躯で、目の下には黒子が浮かんでいた。怯えた表情で地面にしゃがみこんでいた。


黒崎は少年に何かを伝えたいと思い、話しかけたが、最初は答えなかった。優しく声をかけ直すと、少年はついに答えた。


「ここにはアイツらがいるから、来ちゃダメだ」と、少年は小さな声で囁いた。


黒崎は状況を理解し、回転式拳銃を慎重にズボンのポケットに収める。そして、同じ目線で問いかけた。


「アイツらとは、一体誰のことなんだ?」


少年はもごもごと言いながら答えた。


「カッパ」


少年の言葉が終わると、池の方から鶏とライオンが合わさったような奇妙な鳴き声が聞こえてきた。少年はその鳴き声を聞くと、一瞬で理性を失い、恐怖に駆られてその場から逃げ出してしまった。


黒崎は池の方に回転式拳銃を向けると、水面が振動し始め、肌が緑色に変わり、爬虫類のような模様が浮かび上がった。


口には鋭い牙が露わになり、よだれが垂れ落ちている。カッパがゆっくりとこちらに近づいてくる様子に、心臓が重苦しくなり、胸が締めつけられるような感覚が広がった。まるでライオンがシマウマに忍び寄るかのような緊迫した状況だった。


必死に数発の銃弾を発射しようとしたが、弾切れによりその望みは叶わなかった。絶望の念が襲い、拳銃を手放し、学校に入ろうとしたが、扉は閉まっており、中に入ることができなかった。


それでもカッパは接近してくる。何度も扉を叩いたが、中には入れなかった。


「これで終わりなのか…」と後悔が心を押し潰すような感覚が押し寄せた。しかし、そのとき、雲が切れて太陽の光が差し込んだ。カッパは急いで池に戻ろうとしてるので、捕まえようとして手を伸ばした。しかし、とても力強い手が腕を掴み、カッパは口の中の牙で噛もうとした。押し倒そうとした。


すると、カッパの背後から血まみれの橋本が現れた。笑みを浮かべながら、腰のホルダーから拳銃を取り出し、カッパに向けて一発の銃弾を放った。カッパは悲鳴を上げながら逃走を試みたが、太陽の光によってその場で倒れ込んでしまった。


倒れ込んでいるのを他所に近づいてきた。拳銃のトリガーには指が添えてあり、今にでも撃ち殺されそうになっていった。


その時だった、前回と同様に狂気が黒崎を襲っていく。

感情の起伏が昂り、素手で橋本に殴りかかったが華麗に避けられ蹴り飛ばされてしまう。

倒れ込んだ黒崎は、腕で橋本の足を掴みその場に倒れさせた。


橋本はその場で発狂するかのように話した。

「お前を殺さなければならないのよ!」

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