第22話



辺りが明るくなってきた頃、セイは目が覚める。


横で眠っているのはレン。


セイは起き上がりテントの外に出る。


「おはようございます、セイ様。」


笑顔でクロエが挨拶をし温かいお茶が入ったカップを渡してくれた。


「ありがとう。」


受け取ってそれを飲む。


ぐぅ。と小さくセイのお腹が鳴る。


「すぐ用意いたしますね。」


ぼーっとクロエが用意してくれているのを見ていた。


いい匂いがしてきた頃レンも起きてきた。


「それ僕にもよろしく。」


「嫌です。…どうぞ、セイ様。」


「えぇ!そんなぁ…セイまさぁ。」

レンにも作ってあげてと言って欲しいようで目をうるうるさせてセイを見ている。

だけどセイには上手く伝わらなかった。


「私のはあげないよ。」


「え、ちがっ。」


「セイ様の食べているものをねだるとは…レンはこれでも食べていてください。」


レンがクロエから渡されたのは温められたパンだった。


「何も入ってないじゃん。」

ま、温められているだけマシか。

温まっているおかげでふわっとしたパンを口の中にほおばった。



それから三人は片付けを済ませ少し歩き目的の洞窟に到着した。


入り口は小さく子どもが這ってなら入れるくらいの大きさしかなかった。


「こんなに小さい入り口だったとは…。これでは私はもちろんレンもは入れません。」


どう考えても入れるのはセイだけだった。

これは組合長に仕組まれたかと三人は考えた。


「仕方ない。私が行ってくるよ。」


「ですが、セイ様に何かあったら…!」


クロエはセイがどんなに強くても心配で仕方なかった。

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