第20話


「はぁ、そうか。なら試験を受けるんだな?」



「受ける。」



「わかった。じゃあ…これがいいな。ほらこれが試験だ。」


そう言って組合長が近くにあった書類から一枚紙を取り出してきた。


氷結狐複数の討伐依頼とその紙には書いてあった。

さらにその横にBⅢ(ビースリー)と書かれてある。


「このBⅢとは?」


「ああ、これは冒険者組合でのランクだな。このランクを見て自分に合った内容かどうかを他の冒険者は検討するんだ。」


「これは一番下のランク?」


「いや、一番下はCⅢだ。」


「なるほど。」


「で?どうする?」


「じゃあこの場所に行って氷結狐を狩ればいいんだね。じゃあ早速。」


「お、おい、本当に行くんだな?なら…カイト。」


組合長がそう言うとガチャっと扉が開いて、冒険者が一人入ってきた。



「彼が今回君達に同行する。この組合付きのランクAⅠ(エーワン)冒険者カイトだ。試験官だと思ってもらえればいい。一定の離れたところで試験終了まで監視する役目だ。手助け等も一切ないのでそのつもりで。」




「じゃあさっそく行こう。」


セイ達は立ち上がり部屋を出た。



「カイトいつもすまないな。」

申し訳なさそうにカイトに言う。


「いえ、これも仕事ですので。では私も。」

そう言ってカイトは部屋から出て行った。



「組合長。あの方達本当に貴族じゃないんでしょうか?」

淹れてきたお茶を差し出しながらサラが言った。


「どうだろうな。」

お茶を飲みながら答えた。


あの少女からは何の力も感じられない。が付き人の二人からは血生臭さ的なものを感じる。


「やっぱり、あの付き人の方々が強いんでしょうか?」


「かもしれんな。あの二人は確実に経験者だろう。」

経験者というのは、人を殺したことがある経験という意味だ。サラもそれをわかっている。



「私もあまりいい感じはしなかったので…もしかするとそのせいなんですね。」


「まあ結果はカイトが知らせてくれる。サラは自分の仕事に戻ってくれ。」


「わかりました。」

そう言ってサラは一階の受付に戻っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る