第19話


これで何回目かしら。最近貴族の若い息子や娘が自分のところの腕のたつ使用人を連れてきたり、雇ったりして組合に入ってランクを上げて名声を得ようとする人が多いのよね。貴族だから下手に追い返したりできないし…これもあの第三王子様の影響よね。まああの方は実力があるからいいのだけれど…。


コンコンッ

組合長の部屋の扉をノックする。


「入れ。」


「失礼致します。」


「おお、サラか、どうした?」


「ザガス組合長。またですよ。」

サラがそういうとザガスは頭を抱える。


「はぁ、またか。で今度はどこの貴族様だ?」


「あ、聞くのを忘れてしまいました。今すぐ…」


「いや、いい。結局俺が出ることになるんだ。俺が対応するから横の部屋に案内してくれ。」


「はい、ありがとうございます。」


サラは組合長に言われた通りセイたちを部屋に案内した。



ザガス組合長は見て驚いた。

今までに来たどんな貴族の令息、令嬢より幼いセイを見たからだ。


「えー、あなた方が組合に入られたい方ですね?お名前をお聞きしても?」


「セイです。こっちがクロエ、こっちがレン。」


「どうぞよろしくお願いします。」


「よろしくお願いします。」


クロエとレンも挨拶をした。


「私は貴族じゃないよ。」



「なぜそれを先に私に伝えたんです?」



「さっき下で貴族がどうのって他の人たちが話しているのが聞こえたので、何か関係があるのかなと思って。」



「なるほどな、まあ貴族じゃないんなら普通に話させてもらうよ。」


「はい、本当に貴族じゃないので。私はお金を稼ぎたくて、組合に入ったら依頼を受けられると聞いて来たの。」



「お嬢さん、依頼には魔獣の討伐依頼がほとんどだ。いくら連れが強かったとしても自分自身に危険が迫ることなんてざらにあるぞ。」



「うん、問題ないと思ってるよ。」

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