第17話


「さすがセイ様です!セイ様のお力を受け止める力が不十分な自分が情けない…。こんなステキな指輪もいただき…私はセイ様のご期待に添えるようこれから精進していまいります。」


クロエは指輪を大事そうに見つめる。


「そ、それだけ?セイ様の力について他に言うことないのかよ。」



「素晴らしい力をお持ちで、セイ様が自分の主人で感動しています。」


クロエはセイの方を見て笑顔を見せた。



確かにこんなすごい力をもっている人が自分の主人だと思うと自慢をしたい子どものような気分になる。


「そうだな。俺もセイ様が主人で良かったと思う。」


いつの間にかこの雰囲気に絆されてしまったのか。

こんな気持ちになったのは初めてだ。今までは自分の主人を殺すことしか考えてこなかったのに…。

尊敬にも似たこの感情は一体…ワクワクした気持ちが止まらない。これは心の底から思った本音だった。



次の日、朝から三人で行動を開始した。

まず宿を出て必要な物を買う。


クロエとレンの服や装備、あと食料品も。


まずはカバン屋に向かう。

それぞれが必要なサイズのカバンを選び、その鞄にセイが空間拡張魔法を付与、ついでに時間停止魔法も付与した。


次に服屋、クロエは執事服を、レンは冒険者用の服、軽装な装備を購入し、最後に食料品を買った。



二人の首輪とそれに連動している指輪は質屋で売り、それだけでは足りないお金はセイが眠る前まで使われていたコインを換金した。



「もう換金した分のお金が少なくなってきたから、そろそろ稼ぎ口を探さないと。」


あまり多く昔のコインを換金していると不審に思われてしまうかもしれない。


「ではセイ様、魔獣狩りや、冒険者組合で依頼をこなすのはどうでしょうか?」

クロエがセイに提案する。

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