第12話


それと同時にセイを後ろに隠すように立ったのが押し飛ばした彼だ。



「おいおい、そうやって媚びうって後で逃げるつもりだろ?しかもそいつ、ただの平民じゃねーの?俺たちと何もかわんねーじゃん。か、か、顔はいいかも知んねーけど、俺だって負けてな…じゃなくて、さっさとそいつ殺して逃げ…」


「そいつではなくご主人様だろう。」

そう言ってセイの前に立っていた彼が思いっきり拳を振り上げ金髪の男に殴りかかった。


…が、彼は頭もよく身の回りのことは完璧にできるが戦闘は全くできなかった。

拳は空をきりその反動で転けて気を失ってしまった。



その光景に金髪の男の子はため息をつき「もういいっ。疲れた!」と言って、ベッドに座りそのまま横になって寝てしまった。


何だよ…馬鹿馬鹿しい。


その光景にセイは小さく笑った。

これがこの三人の出会いだった。




「う、うーん。」


あれ?

ガバッっと上半身を起こす。


体には布団がかけられていてベッドを占領して寝ていたことに気づく。


もしかして置いていかれたのか?…いや、それでも別に構わない…なんで置いて行かれたなんて思ったんだ…


「おはよう。」


そう声が聞こえた方を見ると、窓際の椅子に座った自分の主人ともう一人の奴隷が立っていた。


「気持ちよさそうに眠ってたから、そのままにしといた。」



「ふん。ありがとう…ございます…。」


「まったく…、セイ様がゆっくり寝られなかったというのに。君は。」


その言葉にイラッっとくる。


「はっ、フルスイングやろうが。」


ベーっと思い切り舌を出す。


「なっ!あれは…!」


顔が赤くなり恥ずかしがっている姿を見てイライラが少し落ち着いた。


「こらこら、二人とも。」


セイにそう言われ一歩下がる。


私にもっと闘いのセンスがあれば…


「じゃあ、起きたことだし昨日できなかった自己紹介をしようかな。」


そう言ってセイは話し始めた。

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