第3話 苦手なものはとらない方がいい。
私達は優雅なティーブレイクをしていた。
様々な珈琲に洋菓子といった充実した飲食物。
これがこの部署のいい所だ。
「どうした飲まないのか?」
私は珈琲に口をつけない彼を心配し声をかける。
珈琲が苦手だったりするのだろうか。
「珈琲が苦手だったりするのか?」
彼は首を縦にふる。
「かわいいな。」
私はさっきまでとのギャップに少し可愛さを感じていた。
歴戦の戦士ような佇まいだったのに子供のように頑張って珈琲を飲んでいる。
それが凄く可愛かった。
そんなかわいい彼を見つめていると顔を赤くし顔を背ける。
「悪かったな、からかいすぎた。」
私は彼に謝罪し、珈琲に砂糖をいれてやる。
私は自分の珈琲に口をつける。
その珈琲はいつもより旨く感じた。
自分のにも砂糖を入れたかなと思ってしまった。
室長が言っていた一緒に飲む相手によって味が変わるというのはこういうことなのだろう。
「ここにいたのねー」
副室長のリサさんが汗をかきながらやってくる。
「すいません、彼を勝手に連れていってしまって。」
「いや、いいのいいの。同じ処理係同士仲良くすることは良いことだよ!」
リサさんは汗をタオルで拭きながら笑顔でそう告げる。
確かに同じ処理係同士仲を深めるのはいいことだ。
その事を気づいていなかった私だが。
ブシャー
彼はリサさんに向かって珈琲を吹き出す。
「あちゃー!!まだ苦かったか。大丈夫ですか?」
私はあわてて彼女の服をタオルで拭く。
「大丈夫大丈夫。服にかかっただけだし。」
リサさんは笑いながらそう告げる。
「服汚れちゃったから着替えにいくね。彼を講義室に連れていっておいて。」
「分かりましたすいみません。」
私と彼は頭を下げる。
俺の人生が終わった件について。
いや本当に一度終わっているのだが、
そういうのはどうでもよくて。
とりあえず状況を整理しよう。
俺は井ノ瀬さんと珈琲を飲んでいて、
俺は珈琲は少し苦手なのだが、ここは人付き合いと思い無理して飲んでいた。
そんな俺に見かねたのか。
井ノ瀬さんは
「珈琲が苦手だったりするのか?」
と心配してくれる。
俺は悪いなと思いながら首を縦にふる。
井ノ瀬さんは可愛いなと呟いた。
可愛い俺が?
そういえばこの世界についてから鏡を見ていなかった。俺は凄くかわいい見た目になっているのだろうか。
そんな事を考えていると井ノ瀬さんは俺の姿に見かねたのか珈琲に砂糖を入れてくれる。
「悪かったな、からかいすぎた。」
俺は井ノ瀬さんの笑顔で少し心が変になりながら珈琲を口に運ぶ。
凄く甘く感じた。
これがこの世界の砂糖の甘さなのだろうか。
そんな事を思っていると遠くから金髪の美女が走ってくる。
さっきリサと呼ばれていた人だ。
リサと井ノ瀬さんは世間話を始める。
どうやら俺を探していたようだ。
「いや、いいのいいの。同じ処理係同士仲良くすることは良いことだよ!」
俺はその言葉に驚き珈琲を吹き出す。
同じ処理係!?
勝手に配属先が決まっていた。
それも一番ブラックな職場にだ。
まぁ、死ぬには事欠かないが、大変な職場だ。
この世界から転生できないとしたら最悪な職場だ。
おれはそんな事を考えていると。
珈琲をかけてしまったリサさんを心配してくれる井ノ瀬さんに
「大丈夫大丈夫。服にかかっただけだし。」
とリサさんは言う。
俺は彼女が怒っているように感じた。
そりゃそうだ。
珈琲をかけられて怒らない人は居ない。
「服汚れちゃったから着替えにいくね。彼を講義室に連れていっておいて。」
講義室。
普通なら勉強をするところを想像するだろうが
この施設を案内された俺は違う。
そんな優しい場所がここにあるか?否。
俺は反逆者を教育する施設だと考える。
逃げなければ俺の本能がそう告げる。
「待て!どこにいく。」
俺を静止しようとする井ノ瀬さん。
そんな事はどうでもよく、俺は教育だけは嫌だと思い逃げる。
俺は追われるなか身を隠すため、音楽室とかかれた部屋に入る。
急いで逃げている男が身室に逃げ込むわけがない。
そう思うだろうと考えながら逃げ込んだ。
そこからは綺麗なピアノの音色が聞こえていた。
そのピアノの音色の方を向くと髪が長く女神のような少女がいた。
「なんていい曲...」
彼女は俺の突然の来訪に驚き演奏をやめる。
彼女は口をあんぐり開けている。
俺何かやっちゃいました?
自殺したらブラックな職場に転生した件 猫カイト @Neko822
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