筋トレは心の平穏に良いのでございますわ

 はぁ、何って気分爽快な朝でしょうか。


 この世界に戻って来てからと言うものどうしてこんな世界にと落ち込んでおりましたが、今はすっきりとしておりますわ。


 あのクソ騎士を倒しただけでこうなのですから、この後全員ぶちのめした後はどうなるのか楽しみでなりません。

 すがすがしい朝日を早く浴びたいものですわね。


 ……にしてもあれですわね。


 毎朝のこととは言え相槌がないのは寂しいものですわね。朝は弱いとのことですけど体は目覚めているのですから、起きてもいいと思いますけどね?

 彼の体の時は確かに朝起きるのが辛かったのですが……。筋肉で克服しましたけど。


 彼は勉学に対しては努力家ですが、体に対しての努力が足りないのはたまに傷ですわね。私が鍛えるのでいいのですけど。


 さて、これからランニングして腹筋してスクワットして、ブリッジに、プッシュアップ、ペルビックティルト、リバーストランクツイスト・シットアップ、ベントオーバーロウ、バックエクステンション、デットリフト・ランシ、カーフレイズ、レックレイズ、ナロープッシュアップ、リバースプッシュアップ、チンアップ、タンベールカールしましょう。


 素敵な筋肉日よりですわ。

 やっている途中に彼も起きるでしょう。

 ふんふん。楽しいですね。


 あら? 何でしょうか。少し家の中が騒がしいです。どうしたのでしょうか。筋トレに行く前に確認した方がいいのでしょう。

 なんてことを呑気に考えておりましたらバタバ夕足音が聞こえてきますわ。これは私も関係あることかもしれませんわね。

 めんどくさっ。


 筋トレしてたいですわ〜〜。でもここで逃げてメイド達に迷惑をかけるの考えものですわ。

 昨日、つい気分が良くて馬車の中で筋トレしてドレスを破ってしまいましたから、メイドにあの後たくさん怒られましたのよね。

 彼にもだから言ったのにと冷たい目で見られましたし……。

 ゴリラを人間に擬態させるの大変なんですからと泣かれてしまったぐらいですし、ここは大人しく話を聴きますか。


 そうとなれば窓にだしたシーツを回収ですわ。見つかったら脱走しようとしていたのがばれます。


「お嬢様!!」

 ふう。セーフ。何とか間に合いましたわ。って、あら。来たのは兵士でしたわね。これなら逃げても良かったですわ。失敗しました。


「何ですか? 朝だというのに筋トレもせず騒がしい」

「それが王子がお嬢様にお会いしたいとおいでになっております。どういたしましょう」

「え? 王子ってどの国の王子のことです?

 まさか私の見舞いに一度もこなかった薄情で周りのことを何も見えてないバカ王子のことではないでしょうね。

 え、そんなことあるわけありませんよね、わっはは」

 どうしましょう。さきほどから寒気が止まりませんわ。


「その……大変いい辛いのですか、そのバ……ではなく、はい、お嬢様のお見舞いにこられなかった王子です」

 あらあらあら。どうしましょう。目眩が……。って何であのバカが来ますの。しかもこんな早朝から誰か止める人はいませんでしたの。

 そうだ……。誰が言っても無駄何ですわ。このバ王子。


「王子は待たせてメイドを呼んでちょうだい。擬態します」

「いえ……。それがお忘れかもしれませんが、どうせ朝は鍛錬するだけ、人となんてあわないからメイドはいらないと言われて、昼からの勤務体制となっております。

 いつもの方でなければいるのですが、でもお嬢様を女の子にするのは荷が重いんじゃないかと」

 あ〜〜。そうでしたわ。無駄に張り付かれるのも嫌でしたからメイドは最少限にしたんでしたわ。もうこれもそれもバカがバカな時間に来るからですわ。


 こっちは半分寝ていると言うのに。

 体調が悪いことにするには昨日暴れすぎましたし……。どうしたら、あ〜〜、もう。どうやればこの寒けの原因であるあのバ王子を……、寒気?

「そうですわ。

 今はまだ二月でしてよね。二月は寒いものですよね」

「え? ええ、まぁ、そうですけど」


「ありったけのお布団を持ってきなさい!」

 この手ならいけるはずですわ





「うわあ、何だ」

 王子とあうのは三ヶ月、いえ、それよりもっと半年以上前かもしれませんが、その久しぶりの第一声が化け物をみるような声なのはどうなのでしょうね。

 一応婚約者なのですけど。


 まあ、向こうにはそんなつもりはないのでしょうけど。腹が立ちますわね。彼も一向に起きませんし、愚痴り相手もいない状況でくそと会うだなんて。


「……王子がいきなりくるから悪いのですよ。私は寒がりだと言うのに準備が間に合わなかったのです」

「だからと言って……」

 ちなみに今は大量の布団を体に巻き付けてます。こうしていたらゴリラも隠せるでしょう。

「それで何の用ですか、王子。こんな朝から」

「そうだ。昨日我が騎士と決闘をしたそうだが何のつもりなのだ。貴様の行いで我が軍は 」

「ああ、昨日クソ騎士をぼこぼこにしてあげた件ですか。何もも何も、あのクソがあまりに騎士としての役割を軽視しすぎていたのでおしおきしただけですわ。

 訓練もせずに女遊び、王の護衛もまともにおこなわないなど目に余りましたもので、天才騎士と呼ばれてますが訓練しなければか弱いおなごにも負けるゴミクズも同然なのですわ。

 で、そんなゴミクスのことで何の用ですか」

 にっこりと王子に向けて笑ってやります。パクパクと開く口のなんと間抜けなことでしょうか。笑ってしまいますね。


「あれは俺の騎士だそ、俺をも侮辱しているのか」

「まあ、そうなるのですかね」

 真っ赤になってパクパク王子のロが開きます。バカらしい頬で阿呆らしいですわ。こんなのが王子で大丈夫なのだろうか。


「この俺にそんなこと言っていいと思っているのか」

「思ってますが事実でありますし、それに私はあなたの婚約者です。不甲斐ない伴侶を叱咤するのも妻となるものの役目ではありませんか。

 私は役目を果たしているだけなのです」

 うげぇ。言っていて気持ち悪いですわ。吐き出しそうです。ぱくぱく口を開ける王子も気持ち悪いです。 


「な、なにを考えているのか知らんが、貴様の思いどおりにはならん。新しい騎士を送って来ているそうだが、無意味だかな!」

はっ? 新しい騎士? なんの話ですか。我が儘王子についていけるものがおらず騎士の間たらいまわしに悪評でも何でもたってしまえと思っていますので何の紹介もしていませんが。私が紹介したらみんな文句一つ言わず私のために働いてくれますもの。

「俺はあいつを騎士から除名なんてしないからな」

 はぁああああ!!


「わかったらもう余計なことはしないことだ!」

「ちょっ」

 ああ、誰よ。布団でゴリラを隠せばいいとか思いついたのは、出ていく王子を追いかけられないじゃないですか



……筋トレしましょう

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