遠慮はいりません。どうぞ。この筋肉を崇めてくださいまし

 三ヶ月後〜〜



 ふんっ!! はっ!!  ふッ!! はああ!! ふふん!!


(さっきから何やっているんだ……)

 何って見て分かりませんの。この美しい体を見ているのです。まだ元の体にはおよびませんが、中々美しいではありませんか。

(いや、元の体これだろうが。

 あの宇宙人ゴリラみたいな体は一応俺のだぞ)

 まあまあ細かいことなど気にするものでもありませんわ。


 それよりもこの美しい体を見てください。

 クイーンウホット・ゴリラッシュの名前にふさわしい筋肉ですわ。家のみんながみられるのが分かると言うもの。


(久しぶりに会った父親は卒倒してたけどな。まだ起きあがらないそうだぞ)

 筋肉がない男はこれだからだめなのですわ。兵士をみならってもらいたいぐらいです。

 みんな素敵な筋肉ですわ。

(お前がここをゴリラ園にする、ゴリラになれないものは三ヶ月後には退職してもらうなんて言うから。


 どこのブラックだよ)


 あら退職金は払いますよ。次の職場の紹介もいたしますわ。ホワイトでしてよ。ホワイトゴリラ園ですわ。

(おかげで外に行くと珍獣を見る目でみられるけどな)

 みな素敵すぎて声もでないだけですわ。特にこの美しい私の肉体美ほれぼれしてしまいます。


 まだ鍛えたいですが、これならクズをやるのには充分に思いませんか。思いますわよね

(やるのか)


 ヒロインがまだ編入しておりませんので、動くつもりはありませんが、ただ一人だけ。


 王子の直属の護衛騎士。エン・フタワールだけは今からやりますことよ。


(何でそいつだけ)

 決まってますことよ。あの男の筋肉を私が許すことができないからですわ。


 王子や他の奴らはまだ戦うキャラではないので目をつぶりますけれど、騎士と名乗りながらあの貧相な体だけは、あの筋肉のなさだけは許せません。

 この筋肉でぶちのめしますわ。


(そんな理由か。らしいと言えばらしいけど……

 大丈夫か? 確か天才騎士とかって言う設定じゃなかったか。強いんだろう)

 そうですわね。そんな設定の屑ですわよ。


 でもあの男は幼い頃、剣術師範を倒してからと言うもの才能にあぐらをかいてろくに訓練をしていない馬鹿です。大好きだった兄弟に才能でうとまれて嫌われてしまったのは同情しなくもないですが、うとましく思われてしまうのはその才能によって家督を奪われてしまう危機があるから。

 ならば家督を継がないこと、剣を捨てるか、兄の剣として生きるかを誓えばいいというのにそんなことせず兄のせいたってぐつぐつ布団の中で愚痴り続けるような屑に負ける筈はありませんわ。


 この肉体も素晴らしければ、私にはもう一つこうなる前から鍛えあげていた魔法の力もありますからね。

 貴方もゲームを多少とは言え見ていたのなら知っているでしょう。


 私がゲームの途中で白髪の魔女と言われていたの。


(ああ、確か言われていたな。

 思ってたんだがそれはおばちゃんじゃないのか)

 そんな二つ名がつくほど私の魔法の力は強いということ当然ですわ。幼少期より鍛えておりましたから。

 そこにこの数ヵ月鍛え上げた肉体、今の私はまさに最強。そう霊長類最強と謳われるゴリラ。


 白髪のゴリラ、クイーウホット、ゴリラッシュですわ。

(頭だけ白いゴリラとか気持ち悪)


 私に勝てるものなどこの世にはいませんでしてよ。

 さぁ狩りの時間ですわ。

 まずは……

 人間に擬態しましょう、パチン




「さあ、私のメイド達私を人間にしてくださいまし」

「かしこまりました。お嬢様」

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