第8話 店長の暴走


 次の日、θはいつものようにスーパーの事務所に来てエプロンに着替えていた。


 すると、χが急にθの胸を触り、彼女の耳にキスをしてきた。


「ちょっと何をするんですか!」


 θはびっくりしてχをどけようとした。


「実は俺、重い処女より非処女の方が好きなんだよ。特にNTRネトラレはたまらないんだ」


 χはθにキスをしようとしてきたが、θはすぐに避けた。


「店長!私は結婚しているんですよ!ここでそういう事するんですか?」


 θはχに訴えた。いくらなんでもここですのは人の出入りもあるし、いかがなものかと思う。


「そうだよ。俺は青〇も好きだから」


 χはθに迫ろうとしていた。θはそんなχを見てうわ・・変態だなこいつと思っていた。


 そうχは元々、エロ漫画が大好きでその中でもNTRが好きだった。元から恋人がおらず、出会いもなかったχにとってそれは夢のようなものであり、芸能人の不倫報道が報じられるたび、χはそれを想像しながら自慰行為をしていた。


 生粋のエロ漫画マニアだった彼は長い間、ニート生活をしていたが、4~5年前にやっと定職についたのがこの業界であり、ここの店長になったのが2年前だ。


 χは店長になってから女性店員に対し、セクハラや性暴力スレスレの行為をし、何人かの店員が退職に追い込まれている。


「この変態!」


 θが叫ぶと、「佐藤さんどうしたの?」と仲村さんが入ってきた。


「仲村さん!店長がキスしようとしてくるんです」


 θは仲村の元に駆けつけた。


「ちっ、違う!俺は別に何もしていない・・」


 χが苦し紛れの言い訳を言った。


「何言っているの!私、佐藤さんが『変態!』って大きな声出しているの聞こえたよ!まさか・・店長、佐藤さんにセクハラしているんじゃないでしょうね?」


「ぎくっ・・」


 χは気まずそうな表情をしながらへへと苦笑いをして店舗の方へ向かおうとした。


「店長!事務所に防犯カメラがあるし、もし、セクハラしていたら警察に通報するよ!」


 仲村が言うと、χは防犯カメラを見ながら店舗へ向かった。


「佐藤さん、大丈夫?」


 仲村がθに声を掛けた。


「大丈夫です」


「あれは上に訴えないと駄目だね・・後、警察にも訴えないと」


「そうですね・・」


 それ以降、χはθに何も言わなくなったが、上に言われたのかχはこの支店から東京の支店に移動となり、店長から降格させられた。


 さて濡田χがいなくなったスーパーでは新しい店長が赴任して来た。


「新しくここの店長になります。阿良々木あららぎです。前は東大宮の支店にいました。よろしくお願いします」


 新店長はθや仲村、金本、ホアン、王らに挨拶した。


「よろしくお願いします」


 皆、新しい店長に挨拶した。


 阿良々木店長は背が高く、ずらっとしていた。そのため、女性というよりはのように見え、θは彼女が少し心配だった。


 というものネットでが女子トイレに侵入し、乱暴狼藉らんぼうろうせきを働いていると聞いて怖くなったのだ。

 が、実際に女子トイレで乱暴狼藉を働いているのは外ならぬシスヘテロ出生時の性別が一致し、かつ異性愛者の男性の方が多いのだが・・


 θは彼女が女装男性かトランス女性だと思い、怖くなったのだ。


 そんな時、θは阿良々木店長が女子トイレに入ってくるのを見た。


「あの・・」


 θは阿良々木店長に声を掛けた。


「何ですか」


「あの・・もしかして阿良々木店長って・・」


 θが阿良々木店長に指を指した。


「何を言っているのですか、佐藤さん。私はれっきとしたシスジェンダー出生時の性別が一致している人の女性ですよ。よくトランスジェンダーの女性に間違えられますが」


 阿良々木店長が何かわかったかのように言うと、θは怖気づいてしった。


「そうですか・・」


「はい。しかもトランスジェンダーの人はトイレや銭湯でのトラブルは少ないですよ」


 阿良々木店長はさっさとトイレに入って行った。



 θは阿良々木店長が女性である事はわかったが、どこか掴みどころが無いと言うと言うか、店長は多くを語らないので、どんなひとなのかわからかった。


 だだ、前の店長とほぼ同世代かそれより少し若いぐらいの女性だが、結婚しているのかどうかわからなかった。


 同僚の金本や仲村も、他のパートの人も「あの人、さばさばしているけど、結婚しているのかね・・」と噂していた。


 見た感じ結婚しているようには見えないが、恋人がいないようには見えなかった。


 まぁそこは本人のプライベートなので好きにしてもいいが、ただ、前の店長のような悪い噂がなければいいなと思った。


 θは商品を搬入し、並べた後、商品がちゃんと並べられているかチェックし、不足している商品は新しく追加していった。


 お昼の休憩時間になると、θは事務所に戻った。すると、そこには同僚の金本や仲村が弁当を食べながら座っており、阿良々木店長もテレビを見ながら弁当を食べていた。














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