第10話 入管法改悪とコリアンヘイト
入管法改正は当事者である
この法改正でも痛くも痒くもなかったのは佐藤一家のみだった。
強いて言えば佐藤一家の中で変わった事と言えば物価高騰で食料品の値段が上がり、前よりも生活しづらくなった事だ。特に小麦粉や卵の値段が上がり、θも買い物の際は躊躇していた。それでも彼らは何とか生活を自分達で何とか工夫し、政府に文句1つ言わなかった。
なぜなら彼らにとって政府に文句を言わない事が大人だからだ。
7月4日にクルド人約100人の騒動が起こっても、βとθは「迷惑だよね。早くここから出ていけばいいのに」と嘲笑していた。
それを見たγは「あいつらが関わっているのかな?」とにやにやしていた。
Ωはイラストを描きながら、キリスト教の聖書の文を書いていた。
クルド人を嘲笑し、政府に文句を言わない佐藤一家は人権思想に反するものであった。彼らはそれを知らなかったのである。
次の日、γは学校に行くとそこにはδがいた。γは面白がってδに対して「お前、夜のあれに参加したのか?」と笑いながら聞いてきた。
δはそれを無視して教室を去って行った。γは「オイ!待てよ!」と追いかけようとしたが、どうやら逃げ足が速かったようだ。
廊下に出ると、ιらしき生徒を見かけた。
「おっ、男の娘じゃねーか!今日はこいつに飛び蹴りしよう」
γはιを見かけた途端、ιにちょっかいを出そうと追いかけた。
そしてιが階段を降りようとした所γが飛び蹴りしてιを突き落とした。しかし、突き落としたのはιではなく、隣のクラスの学年一美少女と名高い早瀬さんだった。
「え!早瀬さん!何で俺、早瀬さんを飛び蹴りした?」
γはιを飛び蹴りするつもりが隣のクラスの女子児童を階段から突き落としてしまった。しかも早瀬さんは動かなくなっていた。怖くなったγはそのまま逃げだした。
クルド人のδの件同様、体育館では早瀬さんの件の全校集会があった。
早瀬さんは命は取り留めたものの、まだ目が覚めていないとか。クラスメイトは犯人捜しを始めた。
それはγのクラスも例外では無かった。γはクラスメイトから前件の事があったので、犯人に疑われたが、γは「ちげーよ俺はやってねーよ。隣のクラスのοがやったんだよ!」
γが言うと、クラスメイトは妙に納得した表情になっていた。
「朝鮮学校」と言う日本人を拉致する将軍様を崇拝するような国の学校から来たοならやりそうな事だと思っていたからだ。
しかし、それは朝鮮学校に通う生徒や在日コリアンに対する増悪と差別であった。
それ以来、οは学校で「早瀬さんを殺そうとした屑」という事になっていた。
γは犯人に疑われるかと思ったら逆にοが犯人扱いされていたので若干ほっとした。οは「俺はやっていない!俺は早瀬を助けただけだ!」と自身の無実を訴えたが、クラスメイトからは「嘘つき」、「どうせお前だろ?」とにたにた笑いながらοを見つめ、犯人扱いをして誰も信じてくれなかった。
そんな様子を見ていた妹の韓ωは2年生の教室でωに話していた。
「お兄ちゃん、学校に行きたくないって」
「何で?」
「5年生の人が階段から落ちたのがあったじゃん?お兄ちゃん、あれで犯人扱いされたって。でもね私、お兄ちゃんが犯人じゃないと思っているよ」
「うん」
韓ωは兄の無実を信じていた。
そんな時、早瀬が目を覚めた。奇跡的に目が覚めた早瀬がοについて訪ねたところ、覚えていないが、助けていたような気がすると答えた。そして彼女の入院していた病院が野底病院という沖縄発祥の秘密結社「アルバース財団」の系列病院だった。その病院からの情報を元に財団系列の研究所「
「お兄ちゃん!お兄ちゃんは何もやってないって!」
韓ωがランドセルの姿でοの部屋に来た。
「本当か!でも…俺、やっぱり学校行きたくないな…前の学校に戻ろうかな?」
οは下を向いていた。
「大丈夫だよ!お兄ちゃん!ラボが悪いことする人をやっつけてくれるって」
韓ωはοの部屋から走って行くと、οはベットから降りて学校へ行く準備をした。
学校へ行くと、みんながなぜかとあるものに注目していた。なんだろうと思ってοが見ると、それはヒトガタのロボットだった。ロボットはマネキンのようなのっぺらぼうで怖かったが、生徒達に話しかけていた。
「こんにちは私は
とロボットは歩いて、教室へ向かった。
「なんだありゃ?」
οは不思議そうにロボットを見た。
「なんか5年生の人を監視するって」
「もしかしてγの奴か?やっぱり真犯人はあいつだったんだな・・・」
οは妹共に走って教室へ向かった。
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