マジョリティーの視点から
第1話 佐藤β(47歳 会社員)の場合
俺は
地元北海道の大学を卒業後、そこに就職した。あっ、間違えても俺はアイヌじゃないぞ。開拓者の子孫だ。そんなものはとうの昔にいなくなっている。
就職後は都内のアパートに住みながら働いていたが、息抜きで行った喫茶店「モオ・モジョ」で出会ったのが
俺は当初、あまりいい印象が無かったけど、話していくうちに意外と話があったから彼女に就職のアドバイスをした。そしたらなんと俺と同じ会社に就職しちゃってさ、しばらくは独身寮に住んでいたみたいだけど、2005年に俺と一緒に同棲した。
ずっとしばらくは俺と事実婚って感じだったけど、東日本大震災で今後、事実婚をするのが不安で法律婚をした。その翌年には長男が生まれて、2015年には長女が生まれた。長男が小学校に上がるまで、都内に住んでいたんだけど、2019年に郊外のベットタウンに移り住み、今に至っているという訳だ。
そして最近、俺は昇進したばかりで会社には新卒の社員が来ていた。
「今日からうちの会社に入る
「大学を卒業し、今年からこの会社に入社する事になりました。橘です。よろしくお願いします!」
彼女は俺好みの地味で眼鏡をかけた冴えない人だった。俺は仕事が終わると、すぐ彼女に声を掛けた。「サイゼリヤに行かないか?」そしたら彼女は嫌がる事もなく「うん」と答えたのだ。
サイゼリヤの店内に入ると、俺は彼女と一緒の席に座った。座ってメニューを見ながら俺は彼女に話しかけた。
「よかったよ君がサイゼリヤでも嫌がらない子で。普通の料理店はコストがかかるからね。僕はねコストがかからない場所がいいんだよ」
「はあ…………」
彼女はなぜか浮かない顔をしていた。
「そう。こっちの方が安いし割り勘できるからさ。僕は独身時代からここの店に通っているんだ。君はサイゼリヤに行くのは初めてだろ?」
「ええ。私はサイゼリヤない県の出身なので…」
「サイゼリヤが無い県なんだね。出身はどこだい?」
「大分です」
「大分か。そこは確か日テレも無いところだよね」
「はい」
「あー後さ僕こう見えて47なんだけど、結構、若作りしているからさ30代ぐらいに見えるんだよ」
「そうなんですね…」
なぜか彼女はへへと笑っていた。恥ずかしがり屋さんなのかな?
「そういえばさ、2016年の沖縄で起こった失踪事件を知ってる?」
スマホを何気に見ていた俺は彼女に2016年に起こった事件について聞いた。
「知ってますよ。あれ、失踪者がみんな大正時代の沖縄にタイムスリップしてしまって、防衛省の外部組織が行おうとしていた歴史改変を止めた事件ですか?」
「そう、防衛省の外部組織は大正時代の沖縄で帝国大学作る計画を建ていたみたいでさ、僕からすれば彼らがやっている事って全然悪い事に見えないんだよね。何て言うのかなぁ今まで大学がなかった大正時代の沖縄で大学を作るって事だから優秀な人達が沖縄からもっといっぱい出るって事でしょう?」
俺は一種の正論を話した。確かにそれは歴史修正かもしれないけど、そのおかげで沖縄から優秀な人材が出て学力が上がるかもしれないのだ。
「それはそうですけど、彼らは大学建設のためにハンセン病患者を強制労働させたり、児童養護施設にいる子供を誘拐したりと酷い事をしていましたよ。結局、その組織はトップとNo.2が逮捕された事で分裂して今は沖縄防衛局と沖縄総合事務局にあるみたいですよ」
彼女が変な事を言い出した。思想が強い人達の言説に惑わされているのか?
「そう…じゃあ食事が終わったら割り勘で。ねぇその後も僕とどこか行かない?」
俺は彼女にとっておきの場所を紹介したかった。そう2人っきりになれる場所を。
「支払いの方は私も払いますが、その後の事に関しては結構です。食事が終われば帰らせていただきます」
ζはさっさと金を払ってどっかへ行った。俺も金を払って東京駅から京浜東北線に乗った。その電車の中で俺はSNSでζの事を投稿した。
「食事に誘った同僚の女の人がその後の誘いに断ったんだが、そんなに俺の事気に入らなかったのかね?」
とそのSNSはなにげにバズリ、コメントまで来た。
おお!いいね!俺は称賛するコメントには返信し、批判するコメントにはブロックした。
次の日、仕事に来るとζは仕事を辞めていた。会社に入ったばかりだったのにすぐやめるとはメンタルが弱い奴だなと思った。
解説
佐藤βは後輩の女性社員を性的搾取しようとしていた。彼はミソジニーの冷笑系である。
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